テスラは何を目指そうとしているのか
テスラがここまで派手なデモに徹したのには、わけがありそうだ。米ニュースサイトのアクシオスは、新型ロードスターを「自動車工学をきらびやかに称える」車と評し、テスラがいまも自動車工学の限界を押し広げる可能性があると認める。
そのうえで、このデモは車を売ることとはほとんど関係がないと指摘する。アクシオスが注目するのは、デモの出来の良しあしではなく、テスラの向かう先だ。新型ロードスターの豪華なデモをもって、テスラは「運転する楽しさ」に幕を下ろそうとしているのだという。
壇上で、マスク氏は新型がいずれ、「テスラが作る唯一の手動運転車」になると改めて述べた。1車種しか残さないのなら、「限界まで、限界のはるか先まで」攻めようとマスク氏は訴える。「必ずしも安全を最優先した車ではない。だが、楽しさメーターは10段階の11だ」とも自賛した。
アクシオスは、マスク氏は人間が運転する必要のない未来を想定している、との分析を示した。テスラは自動車会社というより、AIやロボットの会社に近い存在になるとの読みだ。
予約から量産まで10年超の自動車会社
実際、ロイター通信などが報じたように、テスラは今年になってセダン「モデルS」とSUV「モデルX」の販売を打ち切った。人型ロボット「オプティマス」を生産する場所を確保するためだという。一方、自動運転に力を入れ、ハンドルもペダルもない無人タクシー「サイバーキャブ」を世に送り出している。
ロボット重視の姿勢を打ち出すマスク氏にとって、通常の自動車市場でシェアを守ることはもはや優先課題でなくなったのだろうか。自動運転やロボットへの巨額の投資が実を結ぶとは証明されていない中、高額の予約金を預けた人々の期待を裏切るかのように、新型ロードスターの登場は早くとも2028年まで先送りされた。
予約金の払い込みから量産まで10年以上かかる、異例の自動車会社。それでも未来的なビジョンに信頼を寄せるオーナーは少なくない。
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