公道を走れるかは「あなたの道次第」

テスラは新型ロードスターを「人間が運転する最後の世代の車の最高峰」と位置づけ、公式サイトに3つのグレードを示した。2人乗りの「パフォーマンス」グレードは公道走行用で、現在予約を受け付けている。同じく2人乗りの「スラスト」は数量限定で、車体後部にスラスターを搭載する。強力な加速力を誇り、時速0-60マイル(約97キロ)の加速は1秒足らずだとしている。最上位の1人乗り「ロケット」グレードに至っては、招待を受けた人しか買うことができない。車体を囲むようにスラスターを備えている。紹介文に躍るのは、「Yes、飛べます」の一言だ。

車両価格はまだ発表されていないが、予約ページは早くも予約金の額を告げている。パフォーマンスが5万ドル、スラスター付きのスラストが25万ドル(約3920万円)。いずれも代金の全額ではなく、その一部を前払いする方式だ。

仮に招待されてロケットを手に入れたとしても、現時点で公道は走れない。テスラの公式サイトにも、「公道での使用は認可されていない」と注記されている。デクリプトによると、合法的に公道を走れるのかと問われたマスク氏は、「あなたの道次第だ」とはぐらかした。

2026年10月16日にテスラが公開したライブ配信映像から切り出された画像
写真=AFP PHOTO/TESLA/時事通信フォト
2026年10月16日にテスラが公開したライブ配信映像から切り出された画像。10月15日、米テキサス州マグレガーで同社が次世代の電気自動車(EV)「ロードスター」を発表した様子が捉えられている。

約束の2020年になっても量産は始まらず

2017年に新型ロードスターが発表されると、予約者たちは期待に胸を膨らませたものだ。しかし、その心情はいつしか呆れへと変わっていった。

アメリカの人気テクノロジー系YouTuber、マーケス・ブラウンリー氏(登録者2140万人、2026年10月現在)のテスラのアカウントには、以前は新型ロードスターが2台登録されていた。当時のテスラには紹介制度があり、車の販売に一定程度貢献した人であれば、新型ロードスターを値引きで買えたり、場合によっては無償で手に入れたりできるとされた。

ブラウンリー氏は紹介実績をもとに、無償で1台を受け取れることになっていた。さらに、半額でもう1台を購入する権利を得ていた。半額の方の1台で、予約金として実際に5万ドルを支払っている。

2019年、マスク氏が映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で宙に浮くデロリアンのGIFアニメを示しながら、新型ロードスターも似たような動きができるようになると豪語すると、ブラウンリー氏は「冗談で言っているんじゃない気がする」と反応した。後部座席を廃止し、代わりにスラスター用の圧力容器を積むという話には、「うわ、ちょっと好きかも」とまんざらでもない様子だ。

だがマスク氏が約束した2020年になっても、量産は始まらなかった。