先日テレビの収録で、ある日本を代表する起業家の方とお話しした。その方は、ツイッターなどのSNSなどの利用も盛んで、時折、「炎上」している。
聴衆に「あんなに炎上して平気なのですか?」と聞かれて、その人は、「ぜんぜん平気。慣れちゃっているから」と答えていた。それで、私は、これは大切なポイントだなと改めて思った。
インターネットの登場以前から言われていることは、「実行者」と「評論家」のタイプは違うということである。何かをする人は、とにかくやってしまう。それに対して、「後だしジャンケン」でいろいろケチをつける人は、結局仕事ができない。
会社の中でも、評論家タイプは、あら探しは得意だけれども、実行力がない。評論家が多くなると、会社の活気が落ちる。コンプライアンスは大切だが、その遵守が、評論家タイプを増殖させることになってしまうと元も子もない。
結局、会社も、一つの国も、評論家タイプだけでなく、いかに真っ先に実行していく突破者を増やすかが、成長戦略の鍵となる。そのためには、冒頭に紹介した起業家のように、「炎上上等」の覚悟がある人が、必要なのだろう。
私自身は起業家ではないが、炎上は何回も経験している。その際の時間経過をふり返ると、炎上は、それほど悪いことでもないように思う。
まず、炎上するということは、それだけ世間の関心が高いということである。「炎上マーケティング」という言葉があるくらい、話題にもなる。使い方、対応のやり方によっては、すぐれた宣伝効果もあるだろう。
次に、炎上をきっかけに、社会のさまざまな立場の人たちとコミュニケーションが図れる。その中には、もちろん「アンチ」の人もいるが、反対論者とのやりとりのほうが、長期的に見ればかえって有意義な場合も多いのだ。