思考のアイドリングが疲れの正体
脳は重さが体重の2%ほどしかないのにもかかわらず、1日の基礎代謝の20%前後(基礎代謝が1日1500kcalなら、300kcal)を使っている大喰らいの組織。
そしてDMNは脳が使うエネルギーの60〜70%(1日300kcalなら、180〜210kcal)を消費しており、過剰なDMNの活動は、脳疲労の元凶となりかねない。
また、脳は放っておくとネガティブな連想ばかりする。DMNのほとんどは、ネガティブなことを考えていると言われている。
これは、ポジティブなことを考えているより、「敵に襲われるかもしれない」とか「餌が手に入らないかもしれない」といったネガティブな思考で対処法を考えていた方が、昔は生き残る可能性が高かったからだろう。
しかし、現代はネガティブなことを考えていなくても、生き残ることができる。食事に困ることもないし、貧困になったとしても政府が助けてくれる。しかし、昔の名残で、ひたすらネガティブなことを考えてしまうのだ。
常に考え事をしているため、仕事が終わっても脳は休まらない。さらに、寝る直前までスマホを見てしまうことで、永遠に情報を受け取り続けてしまう。この“思考のアイドリング状態”こそが、現代人の疲れの正体である。
つまり、私たちは「働きすぎた身体」ではなく、「休めなくなった脳」を抱えているのだ。
「何もしない時間」に不安を感じる
心理学の研究では「何もしない時間」に不安を感じる人が年々増えているという。人は本来、静寂の中でエネルギーを回復させる生き物だ。しかし現代社会は、静けさを“退屈”と誤解し、常に刺激を求めるようになってしまった。
ここで注目したいのは、なぜ私たちは「何かをしていないと不安」「情報がないと落ち着かない」という状態に追い込まれるのかということだ。
現代人は、職場や家庭での役割だけでなく、SNSやニュースといった外的な情報刺激に四六時中さらされている。
たとえば、休日に何も予定のない静かな時間ができたとしても、多くの人は無意識のうちにスマホを手に取り、新しい情報や他人の動向をチェックしてしまう。
「何もしない時間=時間を浪費している」と錯覚したり、「誰かに置いていかれるのでは」「情報から取り残されるのでは」という焦りや不安を感じたりする。
そして、完全に情報を遮断してしまうと、「何か大切なことを見逃しているのでは」といった不安やソワソワ感が湧き上がる。
これは、“外側”の刺激への依存が進む現代型の脳疲労の典型パターンだ。
脳疲労を抜け出す第一歩は、こうした外側の刺激に依存していると自覚することだ。
もし何もしていないと落ち着かない、SNSやスマホの情報がないと不安――そんな感覚に気づけたなら、それこそが「休むべきときのサイン」である。
このタイミングでこそ、静けさや何もしない時間を“意識的に”作り出す必要がある。

