都市の近くに山、川、海がある
【地方に残る自然と多様な風土】
日本の生活スタイルを語る上で見落とすことができないのが、都市と自然の距離感の近さだ。ポートランドで日本庭園を経営する中西玲人さんは、こう言う。
「アメリカには雄大な自然はあるが、自然らしいものを、都市空間の中に溶け込ませるのは日本人のほうが得意だ」
日本庭園はその象徴だが、それに限らない。日本は3分の2以上を森林が占める、自然の残っている国だ。一度都市圏から離れて地方に行けば、どの県に行っても山があり、川があり、海がある。さらに日本は南北に長く、気候の幅も広く、起伏に富んだ地形を有するため、世界的に見ても、生き物や生態系の種類が多い。
生物多様性のホットスポットの一つだ。特に山登りをすると、その多様な生態が新鮮だという。日本人にとっては当たり前の風景が、外国人にとっては物珍しい。そして地方の自然には、もう一つの価値が宿っている。それは「人の生活の息吹」との近さだ。
中西さんが語るように、「田舎と都市との距離感が近く、田舎では人と自然が共存した生活を感じられる」場所がある。有名な観光地ではなく、農村や漁村の日常に触れることを求める旅行者が増えているのは、その価値に世界が気づき始めているからだ。
「いつでもどこでも同じ」への信頼
【「当たり前」が価値になる時代】
こうして取り上げても、まだ首を傾げる人がいるかもしれない。「そんな当たり前のことが、なぜ特別なのか」と。
しかしその「当たり前」の感覚こそが、価値の源泉だ。長年の習慣として身に染みついているからこそ、価格帯が変わっても、地域が変わっても、担当者が変わっても、一定の水準が保たれる。それが外国人の目には「一貫性」として映り、信頼の基盤を作る。これが、日本人が実践してきた生活文化の水準の高さなのだ。
私は、過去アメリカのシカゴに1年間留学し、2025年もニュージーランドに2カ月滞在した。その中で、海外の都市はいかにゴミが落ちていて汚れているか、マナーが悪いか、そして特に食べ物をはじめ、モノの質が低く、値段が高いかを実感した。生活インフラという点で見た時に、日本以上に安心・安全で、生活の質が高い国はそう多くはないと感じた。
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