各国共通の問題と、日本で確認された不備
部品や修理能力の不足は、米英仏にも見られる。日本政府が2026年9月に公表した資料で、航空機を中心とする一部の装備品は、2027年度までに、部品不足で使えない状態を解消できない見込みだと認めた。企業の事業撤退、部品の製造中止、予期せぬ不具合などの「急遽発生した要因」で、部品の調達期間が延びたためだという。企業の撤退や予期しない不具合を、防衛省だけで防ぐのは難しい。
しかし、製造中止まで一律に「急遽発生した要因」で片づけられるのか。前もって分かる場合には、備える余地がある。米国防総省は2020年の指示で、全装備を対象に、製造中止などの通知を確かめ、対策の予算も組むよう担当部署に求めている。P-1では、その情報が発注量の計算から抜け落ちていた。
製造中止の情報を発注量に反映しない手順と、修理を終えた部品だけで成果を判定する契約。いずれも会計検査で確認された防衛省内部の不備であり、予算の額や機体の不具合とは別に改められる問題だ。製造中止の情報も未修理品の事情も分かっていたのに、発注や契約に生かされなかった。
米国では法律で、共食い整備がどれほど行われているかを国防総省が議会に定期報告するよう定め、原則として機密に指定しない形での提出を求めている。
日本では、白書が「2倍の作業量」と書きながら、件数や作業時間、費用を体系的に示した公表統計は見当たらない。負担の大きさが分からなければ、国会も予算や契約のどこを優先して見直すべきか判断しにくい。
まず部品の発注と契約を立て直す
米英仏との比較を踏まえると、日本が優先すべき改革は二つある。部品の調達と修理を支える仕組みを改め、その効果を数字で確かめることだ。
第一に、発注手順と整備契約を立て直す。まず着手すべきは、発注手順の改定だ。不備は検査で確認済みで、手順の改定には予算の増額を待たずに着手できるからだ。製造が止まってからでは、予算を積んでも部品の入手は難しくなる。
防衛白書が挙げる部品不足の改善策は、納期を見込んだ部品費の確保やAIによる需要予測などだ。2023年の防衛生産基盤強化法も、企業の供給網の強化などを支援する。検査院の報告から1年余りたつが、これらの説明には、製造中止の情報を発注に反映する手順は見当たらない。
具体的には、製造中止や納期延長の情報が入ったら、輸入部品も含めて発注量に反映することを、陸海空の全装備で義務づける。製造中止なら、メーカーの受注打ち切りまでに、残りの運用期間に必要な数量をまとめて買うのか、代わりの部品を確保するのかを決める。
そのうえで、納期が長く任務への影響が大きい部品から、複数年契約で企業に部品の在庫や、修理に必要な人員・設備を確保させる。参院決算委が推進を求めるPBLも、RAVELと同様に、成果を「使える機体の数」で問う形に改める。そして、手順や契約を変えた効果が実際に出たかを確かめなければならない。

