製造中止を知っても、発注量を増やせない
日仏とも成果を重視するが、その測り方と責任の問われ方が異なる。
フランスのRAVELでは、企業側の遅れで使えない機体がどれだけ生じたかまで問う。日本では指針が可動率を「目標」と位置づけ、防衛省もPBLを「修理時間の短縮や在庫の確保などの成果に主眼を置いて」結ぶ契約と説明する。
ただし、企業との契約を改めるだけでは部品はそろわない。発注する防衛省の側にも、把握した情報を発注につなげられない問題があった。
検査院のP-1の報告によると、部品の情報を集める側と発注量を計算する側が分かれていた。海自の補給本部は製造元の川崎重工に「需給バランス表」を作らせていた。同社は部品業者から不足情報や故障率の改善予測などを集め、部品の供給と使用の実績、定期修理の予定と合わせて表にまとめた。
表は、発注量を計算して調達する航空補給処とも共有され、部品が足りるかどうかの予測に使われた。ところが発注量は、通常の使用で消耗する数量などから、手元の在庫と、納入される予定の数量を差し引いて計算する決まりだった。表などを通じて製造中止を知っても、それに備えて発注量を増やす仕組みがなかったのだ。
海自は、一部の品目は補給本部などが表を基にまとめ買いしていると説明したが、航空補給処が通常の発注量を計算する仕組みとは別枠の対応だった。
見積もりを取って初めて分かる「納期の延長」
部品が届くまでに何年かかるのか。その見込みも、発注量を計算する時点では古かった。航空補給処は前年度までの実績から納入までの期間を見込んで発注量を計算し、企業から見積書を取って初めて、その時点でどれほどかかるかを知る。ある部品では、見積もりを取ると調達期間が3年から4年に延びていたため、発注量を計算し直した。
その後の調達手続きで、納入期限はさらに1年先になった。製造元が、構成部品を入手できないことなどを理由に、必要な数量の一部しか納められないとしたため、部品が不足するおそれが生じた。
輸入部品では、補給本部、航空補給処、川崎重工などがそれぞれ部品の需給情報を集めていた。しかし、誰が何を把握するのかという役割分担が曖昧で、補給本部と傘下の航空補給処の間でも情報を十分に共有できていなかった。
製造中止の前に買い足す機会を逃すと、在庫が尽きた後は代わりを探すことになる。検査院が確認したのは、必要な時期に必要な量を調達できず、慢性的に部品が不足する状況だった。部隊は機体同士で部品を融通し、使える機体を確保していた。検査院は、使えない機体があることも確認した。
ただし、検査院は、これらの不備だけで何機が止まったかまでは示していない。

