今年は最強の生え抜き集団だった
そんな中で、ここ10年ほどは、ドラフトで獲得した選手を自前で育成して主力に育て上げるケースが増えている。今年と2016年の阪神の投打の陣容と、選手の入団の経緯を比較しよう。まずは野手陣。
今季は全ポジションをドラフトで獲得した選手で固めていた。3冠王に輝いた佐藤輝明や、最高出塁率(.394)を獲得した森下翔太ら、リーグトップクラスの成績を上げた選手がズラリと並ぶ「生え抜き最強軍団」だったのだ。
これに対して2016年の主軸は外国人のゴメス。当時はメジャーリーグ(MLB)帰りの日本人選手を獲得するのがブームとなっていて、2012年オフに争奪戦の末に福留孝介、西岡剛を獲得した。生え抜きでは鳥谷敬や北條史也、高山俊らがいたが、今季の佐藤輝明や森下翔太ほどのインパクトはない。
続いて投手陣。
今季は最多勝を髙橋遥人(16勝)、防御率1位を村上頌樹(1.85)、最多奪三振を才木浩人(175)と、投手の主要タイトルを生え抜きの先発3投手が独占した。他球団ならエース級の投手が3人いたようなものだ。
救援陣も2024年育成ドラフト1位で独立リーグ徳島から入団した工藤泰成が最速163キロの直球を武器に、後半戦はクローザーに定着。救援陣もドリス以外はほぼ「自前」の陣容だった。
育成の阪神をつくった2人の外様
これに対して2016年は、外国人のメッセンジャーがエースとして君臨。能見篤史、岩貞祐太、藤浪晋太郎ら生え抜き陣がそれに続いた。救援陣も、現監督の藤川球児が復帰したが往年の力はなく、マテオ、ドリスの外国人頼みとなっていた。
当時の監督は金本知憲。自身は選手時代、「生え抜き選手を育てる」方針の広島からFAで阪神に移籍しただけに、育成に力をあまり入れていない球団に違和感を抱き、改善を求めたという。
また金本の後任監督の矢野燿大も中日からの移籍組。中日のチーム強化をつぶさに見てきた経験から、球団に育成環境の整備を進言したという。
皮肉なことだが他球団の育成環境を知る外様監督の時代に、ドラフトに向けたスカウト体制と、選手育成環境を強化。それが、岡田彰布2次政権、藤川球児監督の時代になって花開いたということができよう。
実はここ10年の阪神は、2年おきに「大豊作」のドラフトを迎えている。主だった年を見ていこう。
2016年は、今や不動の中軸打者に成長した大山悠輔が1位、前出の才木が3位、さらに代打の切り札である糸原健斗、貴重な控え捕手の長坂拳弥と、チームへの貢献度が高い選手が並んでいる。





