食わず嫌いは若手に追い抜かれる

経験は強みですが、使わなければ強みのまま眠ってしまいます。私の考えでは、AI時代に必要なのは、若者のように振る舞うことではありません。新しい道具を試し、自分の経験と結びつけ、少しずつ仕事のやり方を更新する姿勢です。学び続ける人にとって、年齢はむしろ信頼の土台になります。

学び続けると言っても、毎晩分厚い専門書を読む必要はありません。毎朝10分だけAIにひとつ質問する、週に一度だけ自分の業務を棚卸しする、月に一度だけ同僚に使い方を共有する。この程度で十分です。私は、小さく続ける人ほど、半年後に大きな差を作ると考えています。

ただし、希望的な話だけして終わるのは無責任なので、厳しい現実もお伝えします。

「経験×AI」が最強だと言いましたが、これには条件があります。「AIを使える経験者」だけが、その恩恵を受けられるのです。経験はあるけど、AIを使えない。スマホでLINEは使えるけど、ChatGPTは触ったことがない。会議で「AIは怖いから使わない」と言い続けている――。

こういう人は、残念ながら「経験×AI」の恩恵を受けられません。むしろ、AIを使いこなす後輩や若手に追い抜かれる可能性が高い。

毎日少しでもいいから触ってみる

AIの導入が進むと、組織の中で「生産性の格差」が急速に広がります。AIを使える人は、1日10時間分の仕事を3時間で終わらせる。AIを使えない人は、相変わらず10時間かけて10時間分の仕事をする。同じ給料を払うなら、どちらを残すか――経営判断は明らかでしょう。

この格差は、あと数年で「目に見える形」で組織内に現れてきます。希望のある話としては、このギャップを埋めるのは、思ったほど難しくないということです。

この本を読み切るだけで、あなたは「AIの基本がわかっているビジネスパーソン」の側に立てるはず。読み終えたあとに、毎日30分でいいからAIを使ってみる。それを3カ月続けるだけでも、社内でAIを実務に使える人材として一歩先に出られる可能性があります。本当にそれくらい、まだ使っていない人が多いのです。

学び続ける必要はあります。でも、特別な才能は必要ありません。必要なのは、好奇心と継続力。それだけです。