「いいものなのに売れない」の正体

どれだけ価値のあるものでも、人に興味を持ってもらえなければ、広がりません。

「ものはいいのに、全然売れない」
「価値があるのに伝わらない」

そんな経験がある人もいらっしゃるのではないでしょうか。

私はブルーベリーを世の中に広めようとしていた頃、この壁に何度もぶつかりました。今でこそブルーベリーは広く知られていますが、当時は違いました。ブルーベリーそのものに興味を持っている人がほとんどいなかったのです。

もちろん私はブルーベリーの価値を信じていたので、最初は、その価値を一生懸命伝えようとしましたが、伝わりませんでした。なぜなら、人は興味がないものの話を聞かないからです。

そこで私は考えました。どうすればブルーベリーに興味を持ってもらえるだろうか。そしてたどり着いたのが、原産地であるフィンランドでした。

創業2年目に、私は実際にフィンランドへ行きました。現地でブルーベリーがどのように実っているのかを見て、自然や文化に触れました。カメラとフィルムを大量に持ち込み、ひたすら写真を撮りました。

するとあることに気づいたのです。ブルーベリーだけではない。この国そのものに大きな魅力がある、と。

そこで私は、ブルーベリーを売る前に、まずフィンランドを知ってもらおうと考えました。

ブルーベリーのためにサンタを招く

ところが、ここでまた壁にぶつかります。当時、日本では「フィンランド」という国自体があまり知られておらず、イメージもありませんでした。

フィンランドの魅力を伝えたい。でも、フィンランドに興味を持っている人は少ない。では、どうするか。私は世界地図をじっと眺めながら考えました。

当時から「欧州」「ヨーロッパ」という言葉は広く知られていました。ヨーロッパにはどこか憧れや魅力を感じており、多くの人が関心を持っていました。特にイギリス、フランスなどを指す「西欧」という言葉に、好意的な印象を持つ人が多くいるように感じました。

ならばフィンランドはどうだろう。地図を見ると、ヨーロッパの一番北にあります。だったら「北欧」という言葉でフィンランドのことを伝えればいいのではないかと思いついたのです。

ブルーベリーよりフィンランド。フィンランドより北欧。人々が興味を持てるところまで価値を広げていったのです。

その後、『だから北欧』『北欧紀行』というテレビ番組も制作しました。お客さんと一緒に北欧視察を行い、展示会を開き、ホームページもつくり、サンタクロースを日本に招いたこともありました。もちろん、私が本当に広めたかったのはブルーベリーです。

そりに乗っているサンタクロース
写真=iStock.com/quavondo
※写真はイメージです

私はこの経験から大切なことを学びました。価値を届けるためには、その価値を世間の興味とつながるところまで広げなければならない、ということです。