運動するほど脳は元気になる
次に、「社会的」な要因について見てみましょう。
スーパーエイジャーたちは、日々どのような生活を送っているのでしょうか。
まず重要なポイントは、運動です。スーパーエイジャーは平均的な高齢者と比べてより頻繁に運動をする傾向があり、運動能力そのもの(スピード、可動性、敏捷性、バランス感覚)も優れているようなのです。
運動と神経科学を専門とする心理学者カーク・エリクソンらが2011年に発表したランダム化比較試験では、1年間の有酸素運動トレーニングを行った高齢者は、そうしなかった高齢者に比べ、海馬の容積が増加し空間記憶が改善したことが示されています。
運動が脳の「神経可塑性」を高める証拠は非常に多く、スーパーエイジャーも例外ではありません。神経可塑性とは、脳が経験や刺激に応じて、自らの構造や機能を変化させる能力のことです。つまり、運動するほど脳は元気になります。
「脳は大人になったら変わらない」というのはかつての常識でしたが、いまではそれが誤りであることがわかっています。私たちの脳は、何歳になっても、適切な刺激があれば変わり続けることができるのです。
「質の高い人間関係」を持っているか
スーパーエイジャーのライフスタイルで注目すべきは、運動習慣にかぎりません。
スーパーエイジャーに共通する最大の特徴の1つは、「質の高い人間関係」です。
単なる友人の数ではありません。「この人と一緒にいると、本当に満たされる」と感じられるような、深く温かい関係性を持っているかどうかが重要なのです。
2017年に、心理学者アマンダ・マーらが発表した研究では、スーパーエイジャーは平均的な高齢者と比べてこうした関係をより多く、より強く持っていることが示されました。
なぜ人間関係の「質」が脳の健康に影響するのでしょうか。その生物学的メカニズムはまだ完全には解明されていませんが、いくつかの経路が考えられています。
質の高い社会的つながりは「慢性的なストレス反応」を和らげます。孤独はコルチゾールという「ストレスホルモン」の長期的な上昇をもたらし、これが海馬をはじめとした脳に直接的なダメージを与えることが知られています。
また、深い人間関係はオキシトシンの分泌を促し、炎症を抑える働きもあります。つまり、誰かと心から笑い合うことは、文字通り脳を守っているのです。
では、具体的に、どんな人間関係を築けばいいのでしょうか。

