口に出さなければ、何を考えても自由

これまでの自分の知識や考え方を変えてもいいという心づもりがないと、この手の前頭葉のトレーニングはできません。

旧来の自分の殻を押し破って、あれこれと自分の知らない世界に飛び込んでいく、あれこれと自分の思考の枠からはずれてみる。

冒険ができることで前頭葉の老化予防ができるわけですが、これこそがまさに思考の解放です。

料理をするシニア男性
写真=iStock.com/Zuraisham Salleh
※写真はイメージです

思考を解放して、自分が常識と思っていたことの呪縛じゅばくから解き放たれたときに、自分でも思いもよらなかった発想が生まれます。

思考に、こんなはずはないとか、聞いたことがないとか、こんなことを考えるとみんなにバカにされるというようなブレーキをかけるのをやめるのです。

口に出さなければ、何を考えても自由です。

そうすることで前頭葉が元気になると、意欲がわいてきて、身体や頭を使うことになるので、それだけ老化が遅くなるのです。

もちろん、あえてこのような自分の常識からはずれたことを発信してもいいでしょうし、本当に試してみたらなおいいでしょう。

そのほうが前頭葉への強い刺激になります。

このように、思考の解放が老化予防につながるわけです。

養老孟司がタバコをスパスパ吸う理由

一般的に、人間というのは歳をとるほど、旧来の考え方にしがみつき、思考の枠が狭くなっていくものとされています。

そのため年寄りの話は押しつけがましいとか、説教じみているとか、昔の自慢話が多いと言われるわけです。

確かに、思考の自由のない年寄りの話はウザいというのは、私にもわかります。

いっぽうで、長い人生経験から、こちらが想像のつかない意見を言われる方もいます。

私が尊敬する養老孟司先生の口ぐせは、「世の中、理屈通りじゃないから」です。

理屈通りでないと思われているためか、タバコもスパスパ吸います(今はやめたそうですが)。

長い人生経験で、理屈通りにいかないことをたびたび経験しているから、この言葉には重みがあります。

AIの時代には、理屈通りの答えはすぐに用意されます。

むしろ、理屈通りでない答えが自分の長い人生経験から出せる、高齢者の話に価値があるように思えます。

これまで30年以上も、経済学者の理屈通りに経済政策をやってきたのに、日本だけ景気が悪い、経済成長がないというのは、むしろ日本人には理屈通りの経済政策が合わないことを示唆しているのではないでしょうか?