電子版で復刻された「私の履歴書」

角栄が好きだった作家は国木田独歩、高山たかやま樗牛ちょぎゅう姉崎あねざき嘲風ちょうふう、久米正雄。そして徳冨とくとみ蘆花ろかの『思出の記』を「忘れることのできない1冊」に挙げている。

1901(明治34)年に発表された『思出の記』は、没落した旧家の1人息子が、落ちぶれようとも誇り高く生きようとする母と、みじめな現実の間で葛藤する物語である。

「今太閤」と呼ばれ、下剋上人生を体現した角栄がいかにも好みそうな小説だが、こうした少年時代の乱読が、角栄の文才の土台となったことはおそらく間違いないだろう。

講演する角栄
撮影=山本晧一
2026年2月、「私の履歴書」が電子版で復刻された。田中角栄が本当にやりたかったこととは一体何か――。

60年を経ての「復刻」

角栄が「私の履歴書」に登場してから60年の歳月が流れた。

日本経済新聞社は今年2月、電子版で角栄の連載を復刻。有料読者向けではあるが、伝説の「私の履歴書」を手軽に読み返すことができるようになった。(https://www.nikkei.com/topics/25071502

田中角栄の色褪せぬ物語はいまなお、日本人の心のなかに生きている。

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