来日時期で変わる「ことば」の力
一方、小学校中学年以上で来日した子どもの場合、母語の基礎的な能力はできあがっており、簡単なものであれば文章の読み書きは問題ない。日本語で話す力も、学校生活や友だちとの関わりを通して自然に習得していく。ただ、文法などのルールを体系的に学ぶのはまだ難しく、読み書きの力や授業で習う内容を理解する力を身につけるには、学校や家庭での継続的な支援が必要になる。この時期に読み書きの力を獲得できないと、教科の内容を理解するのに十分なことばの能力が醸成されず、日本語と母語のいずれでも授業についていけなくなる可能性が出る。
このように個人差はあるが、幼少期から小学校中学年ぐらいに来日した場合は「読む・書く」という力よりも「聞く・話す」という力が先に伸びる傾向が強い。それに対して、来日時期が小学校高学年以降になると、ことばの発達と習得の傾向が変わり始める。あくまでも年齢相当の思考力があるという前提だが、小学校高学年から中学1~2年で来日した場合、母語で読み書きや教科の学習にしっかり取り組んでいた子どもは母語で習った知識や概念を日本語での学習に活用できる。幼少期などに比べれば「聞く・話す」という力の習得に時間がかかるかもしれないが、読み書きの能力も伸びる。
もっとも、中学校の授業は小学校に比べて飛躍的に難しくなるため、日本語を学びながら教科の学習にも取り組むという状況はかなりの負担になる。母国で成績が良かった子ほど、過去の自分とのギャップに苦しみ自信を喪失してしまうことも少なくない。こうした傾向は、中学2、3年や高校1年あたりで来日した子どもだとより顕著になる。
私は帰国子女ではないが、帰国子女だった人はいろいろと腑に落ちるところもあるのではないだろうか。
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます


