新しいタイプの中高一貫校

中学卒業後も、80%以上が高校や専修学校などに進学している。また、日本語学習支援基金を県と民間で積み立て、日本語教室への運営費や外国人学校の日本語指導者雇用を助成するといった対応も取っている。日本語教室への運営費助成は54教室、外国人学校への雇用助成は4校に上る。

さらに、外国にルーツを持つ生徒にフォーカスした、新しいタイプの中高一貫校も立ち上げている。その舞台は、豊田市西部にある県立衣台ころもだい高校。1974年に開校した全日制の公立高校だったが、2024年4月、連携型の中高一貫校としての一歩を踏み出した。連携型中高一貫校とは、公立中学校と公立高校がカリキュラムや進路指導などで連携し、私立の中高一貫校のように6年間、同じ方針の下で学べる学校のことだ。

衣台高校の場合、同じ豊田市にある保見ほみ中学校と連携しており、2026年4月には保見中学校の卒業生のうち12人が衣台高校に入学した。連携型なので衣台高校に進学するのは希望者のみだが、連携型中高一貫校となって初めての入学者である。

生徒の可能性を解き放つ教育

この衣台高校、国内で増える外国ルーツの児童・生徒に対する現実的な対応という面でとても興味深いので、以下、詳しく書いていこうと思う。

衣台高校が教育方針に掲げているのは、多文化共生と母語を活かした授業、そして文化的にも言語的にも多様な生徒の能力や可能性を引き出す教育だ。日本人と外国にルーツを持つ生徒同士が学び合い、これからの国際社会を主体的に生き抜く力を醸成する。日本語を母語としない生徒にも、深い学びが可能となる教育の機会を提供する。日本語という壁にぶつかり、本来の能力を発揮できずにいる生徒の可能性を解き放つ――。そんな教育の実践である。

「オール1」の生徒の本当の力

連携校の保見中学校は全校生徒の約40%が外国にルーツを持っている。その中には日本語の読み書きが苦手なため、授業についていけない生徒もいる。その状態を放置すれば、通知表は軒並み低評価になり、勉強への意欲と自尊心、自信が失われてしまう。

ただ、たとえ「オール1」の生徒でも、日本語という壁にぶつかり力を発揮できていないだけで、もともとの考える力が低いとは限らない。逆に、ポルトガル語など母語で学ぶことができていれば、日本人をしのぐ才能の持ち主かもしれない。それゆえに、衣台高校では母語も活用した授業を展開し、生徒本来の能力を引き出そうとしているのだ。