書き入れ時の春節に49路線を運休

今年2月、日本発着の49路線で、予定されていた便がすべて運休となった。

中国国営英字紙のチャイナ・デイリーによると、中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空の3社は1月26日、日本路線の航空券について、便変更または未使用区間の払い戻しに応じると発表した。各社は書き入れ時の春節(旧正月)に、大きな損失を被った。

中国の航空各社が手放した日本路線は、2025年に成長を牽引した国際線の中でも、最大の市場であった。

中国国営3社は、収入のおよそ3割を国際線に頼る。国内線が伸びない以上、立て直しの余地は海外にしかなかった。

OAGによれば、中国東方航空の国際線の供給座席数は前年比13.5%増えた。牽引したのは日本で、座席数は240万席、伸び率は27%に達した。同社の国際線で最も混雑する上位5路線には、関西―上海浦東と成田―上海浦東が入っていた。

中国南方航空も日本が最大の市場で、座席数は130万席、伸び率は前年比45%増を記録していた。2位は韓国の100万席で、距離の近い韓国を上回っていたことになる。

ただし、国内線は伸び悩んでいた。東方航空の座席供給は全体で2.2%増にとどまり、国内線は0.1%増と伸び悩んだ。南方航空は全体で0.1%増、国内線は2.3%減だった。中国国内で拡大する高速鉄道網の存在が、国内線の重荷となっている。

北米も、米中間の便数制限が響き、中国東方航空の供給座席数は2019年比75%減の状態が続く。

値上げできる市場は日本と欧州だけ

そもそも大手3社の財務基盤は弱い。中国の英字経済メディアの財新グローバルによると、国際航空運送協会(IATA)のウィリー・ウォルシュ事務局長は今年6月、中国はコロナ後も財務を立て直せていない数少ない航空市場の一つだと指摘した。2025年は3社のうち2社が赤字だった。

各社は値上げで収益を改善したいが、日本路線を縮小した今、それも厳しい。

中国の航空各社は民航当局の規定上、燃料費の上昇分を8割まで運賃に転嫁できる。だが、顧客がそれを受け入れるかは別問題だ。

HSBCの試算では、実際には6割ほどにとどまる。同行の運輸・物流調査部門グローバル責任者であるパラシュ・ジェイン氏は、CNBCの取材に、「上限まで使えば需要を大きく損ないかねない」と話す。競争が激しく、顧客が価格に敏感な路線では、値上げすればチケットは売れない。

例外的に値上げが通るのが、日本や欧州だった。CNBCは、日本と欧州は鉄道網が発達しているものの、消費者の購買力が強く路線の採算性も高いため、航空会社の価格決定力が保たれていると指摘する。

日本側の決算を見れば、この傾向は明らかだ。日経アジアによると、ANAホールディングスと日本航空は5月1日以降に購入する国際線航空券の燃油サーチャージをおよそ2倍に引き上げ、7〜8月購入分は欧米線で6万5000円と過去最高を記録した。燃料価格の落ち着きを受け、9〜10月購入分はANAが5万5000円、JALが5万円に引き下げられている。

それでもANAの4〜6月期の国際線旅客収入は前年同期比20%増の2476億円、売上高は22.6%増の6727億円と、第1四半期として過去最高を更新した。燃料費増などで純利益は15.4%減の194億円、営業利益は43.5%減の207億円と減益にはなったものの、需要は底堅く推移している。

2016年7月、ファーンボロー航空ショーでデモ飛行を行った全日本空輸(ANA)の塗装を施したボーイング787-9型機
2016年7月、ファーンボロー航空ショーでデモ飛行を行った全日本空輸(ANA)の塗装を施したボーイング787-9型機(写真=pjs2005/CC-BY-SA-2.0/Wikimedia Commons