浦島太郎は原理的にあり得ない話ではない
しかし、「時空が実際に伸びたり縮んだりする」という考えは、当初は受け入れられなかった。なにしろ「時空間の固定」は、ニュートン力学の依って立つ大前提である。計算上一致するというだけで、「光速に対して進む方向と速度によって時間と空間が伸びたり縮んだりする」という考えを受け入れるのは、あまりにもハードルが高かった。
この解決には、実際に「時空間の固定」を否定するしかなかった。そして、それを実際に行ったのが、アインシュタインの特殊相対性理論だった。光速に近い速度で移動する物体では、外から見た時間の進み方が実際に遅くなる。高速で宇宙を旅して地球に戻れば、地球に残った人よりも本人に流れた時間のほうが短い、ということが原理的には起こり得る。竜宮城で3日過ごすうちに地上で何十年も経ってしまう「浦島太郎」は、原理的には決してあり得ない話ではないのである。
「時間は誰にとっても同じ」という感覚は、人間の日常生活の範囲でしか通用しない。浦島太郎を荒唐無稽だと思わせていたのは、物語ではなく、私たち自身の感覚のほうだったのだ。
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます


