『ドイツ参謀本部』渡部昇一著 祥伝社

普墺・普仏戦争でプロイセン=ドイツに勝利をもたらした名参謀モルトケ。彼が最も重要視していたのは、局地的な「戦術」ではなく大局的な「戦略」だった。そして淀みなく戦略を実行するにはリーダーとスタッフがともに強力である必要がある。

ドイツ参謀本部が完成させたスタッフ育成法は、世界中の軍隊で手本とされた。だが、そのドイツ参謀本部もリーダーの育成は偶然に頼っていた。二度の大戦での敗因はリーダー育成の失敗だと本書は指摘している。

後進の育成は経営者にとっても最重要の課題である。リーダーの素質として重要なものは感性の豊かさではないか。本書はそのヒントを歴史の教訓から与えてくれる好著だ。