ポータルサイトが牽引する韓国市場
一方、韓国のウェブトゥーンは、1990年代末に個人作家によるエッセイトゥーンと呼ばれる、作家の分身(ただし日本のエッセイマンガのように本人そのものではないことが多い)を登場させた身辺雑記、詩ともエッセイともつかない作品群が支持されたことを皮切りに、2000年代初頭にはNAVERやダウムといったポータルサイト(日本で言えばYahoo!Japanのようなサービス)がウェブトゥーンサービスを手がけるようになる。
ポータルサイトは主にウェブ広告で収益を稼ぐために、無料でとにかく幅広い読者に読まれる作品が重宝された。そこではエッセイトゥーンに加えて、チュソク『ココロの声』をはじめとするギャグマンガ、キアン84のようにコメディ作家ながら芸能人化してテレビやYouTubeで人気を博す作家などが爆発的に支持された。
日本で人気の学習マンガ『理科ダマン』はウェブトゥーン『離さないで!精神線』のスピンオフ作品であり、同作は「小統領」、つまり「小学生の大統領」と形容されるほどに低年齢の読者に支持された。
もちろんストーリー性や作画クオリティを重視したロマンスファンタジーや武侠、アクション作品も存在しており、こちらは2010年代以降に課金システムが整備されるとよく売れるようになった。
実は「書籍の読書率」は改善している
さらには閲覧数や課金額はそこそこな場合もあるが、映画やドラマの原作企画としては魅力的なロマコマ(ロマンスコメディ)、ヒューマンドラマ、ホラーなどの作品が映像化されてヒットすることが増え、「映像化ねらい」のウェブトゥーンもあらわれた。しかし今でも無料で読まれるギャグ、コメディ、エッセイジャンルも併存している。つまり韓国ウェブトゥーンは「閲覧無料で幅広く読まれる作品」「よく課金される作品」「映像化向きの作品」の3階建てになっている。
日本のデジタルコミック市場はこの1階部分が弱く、だから子どもが入ってきづらい。
かつては「マンガや雑誌ばかり読んで書籍を読まない」ことが読書推進、読書指導では課題のように語られた。その後、1990年代から始動し、2000年代には本格化した読書推進政策の影響もあり、書籍の読書率は改善した(※1)。
しかし今も書籍の不読者はいる。高校生は4~6割がそうだ。そしてかつて雑誌の読書率は、小中高いずれも9割以上の時代があった。むかしは「書籍は読まないが雑誌は読む」中高生が多く見積もって3~5割いたのである。
※1:拙著『いま、子どもの本が売れる理由』筑摩書房、2020年に読書推進政策の影響についてはくわしく書いた。



