双子にじゃんけんをさせてみた意外な結果
橘玲:作家
河田雅圭:進化生物学者、『心はどこまで進化したのか』著者
安藤寿康:行動遺伝学者
安藤:ずいぶん昔ですが、ビートたけしさんの番組(「たけしの万物創世紀」)で一卵性のふたごを集めて公開実験をしたことがありました。
全員が席を立った状態からはじめ、じゃんけんで「あいこなら立ったまま/違ったら座る」。40組なら4〜5回で終わるはずが、7回続けても、ずっとあいこのままのペアがいる。もちろんすべての一卵性がずっと同じものを出し続けるわけではないです。6回までつづいたのが3組、7回続いたのが1組です。しかしその確率は偶然では考えられないくらいに低い。
もちろん「じゃんけん遺伝子」などというものがあるわけはなく、たくさんの遺伝子たちの偶然の組み合わせがそれを生んでいる。じゃんけんであいこを出そうと日ごろから練習してきたふたごなんているわけないですよね。予想もしない場面にさえ遺伝が出るんです。
その場でいきなり創発され、一定の形で現れる。それがおそらく、あらゆる人の一挙手一投足に及んでいて、その総体がテストの成績や収入にも影響する。その人独自の形で、確率的だけれど一定の状況下で創発的に生み出されてくる。それが僕の言いたい新しい遺伝観で、わりと統一的な説明ができると思っているんです。
橘:行動遺伝学の世界的権威、ロバート・プロミンの言うジェネラリスト遺伝子(複数の認知能力の土台となる共通の遺伝子)ですね。ビッグファイブの5つの性格(※)は独立とされてきましたが、すべてに関連する遺伝子群があることがわかってきた。知能や精神疾患も共通の遺伝子の影響を受けているんですか?
※ 神経質性、協調性、開放性、誠実性、外向性のこと。最新のゲノム研究で、これらの因子の違いが人間のあらゆるところに関係することがわかっている。

