児童向けとティーンズの明確な境界
②レイティング(年齢区分)制度を確立した
ここまで読んできて、「そうは言っても、マンガは『これ、子どもに読ませて大丈夫なの?』と思うタイトルが多すぎる」と感じた方もいるかもしれない。その不安はもっともだ。
欧米ではこの問題は日本よりはクリアされている――逆に言えば日本では制度的な不備がある。
たとえばスコラスティック傘下のレーベルGraphixはミドルグレード(8~12歳または小3~中1)向けに設定されている。スコラスティックはほかにも
・4~7歳向けのレーベルAcorn
・5~8歳向けのレーベルBranches
・YA(ヤングアダルト。13-18歳向けの本。日本では「ティーンズ」などとも呼ばれる)でも日本マンガスタイルの作品や人気小説のグラフィックノベル版などを展開と分けてラインナップを用意している。
児童書・YAの世界では明確に読者の年齢を区切り、レイティング(年齢区分)を読者・購買者に示す。そうしないと書店や図書館で扱ってもらいづらい。だからコミックについても同じようにレイティングする。
コナンが欧米では「小学生NG」なワケ
そのコミックに暴力表現や性表現、裸体描写などがどのくらいあるのか、司書も保護者も気にする。大人が触れさせたくないレベルの表現から、子どもを遠ざけられるようにしなければならない。
この点が、MANGAはいわゆる少年マンガ、少女マンガでも欧米ではほとんどが13歳~18歳というYA/ティーンズのカテゴリーに分類される理由である。
たとえば青山剛昌『名探偵コナン』は、殺人描写があるため欧米ではハイティーン(以上)向けになることが多い。戦いや殺人描写は、鳥山明『ドラゴンボール』のかめはめ波のようなファンタジー的な表現よりも、リアルな銃殺表現などのほうがきびしく見られる。
また、「12歳以下でもOK」「13-18歳向け」といったレイティングを逸脱しない内容でシリーズ全巻が統一されていることが図書館現場からは求められる。ところが日本のマンガでは、シリーズ序盤はコミカルだったのに徐々にシリアスになり、表現もエスカレートするのがめずらしくない。

