家電は老後に2回買い替える
「なるほど、では生活費以外の残ったお金は使い切っていいのか」と思いたいが、残念ながらそうではない。想定しておくべき大きな支出が、まだ3つあるからだ。
一つ目は「買い替え用のお金」だ。大型家電を買い替えた家庭における平均使用年数を見ると、エアコン13.4年、冷蔵庫13.1年、テレビ10.8年、洗濯機10.1年、掃除機7.4年であり、買い替え理由は「故障」が多い(消費動向調査・令和8年3月/内閣府より)。
つまり、老後生活に入っても、10年もたつと家電は故障がちになり、当然買い替えを余儀なくされるわけだ。先ほどの平均余命を見ても、60歳以降で平均2回は買い替えタイミングがやってくる。しかも家電価格は高額化が進んでおり、数十万単位の買い替え費用を想定しておかなくてはならないだろう。
生活家電だけではない。今や生活に欠かせないインフラとなったスマホやPCだ。同じ調査によると携帯電話が4.6年、PCが7.7年で買い替えられている。スマホ端末は分割で購入する人が多いとはいえ、ご存じのように価格は右肩上がりだ。
情報収集にしろ手続きにしろ、すべてがスマホ経由で行われる世の中に向かう現在、これは一生払い続けなくてはいけないコストといえる。ちなみに乗用車は9.4年で買い替えとのこと。こちらも忘れてはいけない。
老後の持ち家にはリフォーム費も必要
二つ目は「リフォーム・修繕用のお金」だ。マンションであれ一戸建てであれ、持ち家なら老後のためのリフォームが必要になってくる。老後は在宅時間が増えるので、冷暖房効率を上げるための断熱・省エネ改修や、段差をなくすバリアフリー化、玄関や階段への手すり設置などが欠かせなくなる。
自治体や介護保険からの補助が使えるとはいえ、数十万~100万円ほどの工事費用が発生するだろう。なお自然災害が頻発する昨今では、古い一戸建てなら耐震改修等も考えておきたい。
有料老人ホームは入居時650万円
最後は、「介護に使うお金」となる。これは自宅介護か、介護施設に入所する場合かで異なるが、子どもと近居・同居でない限り最終的には介護施設に任せるケースが多いのではないだろうか。
全国の介護施設のデータを掲載しているLIFULL介護「全国の老人ホーム・介護施設の費用相場」によると、有料老人ホームの入居時費用の相場は650万円、月額費用の相場は26.6万円(入居時費用あり)となっている(※)。しかし、価格帯の分布で見ると、入居時費用で最も多いのは1000万円以上だ。
※LIFULL介護に2026年7月31日時点で掲載された全国の介護付き・住宅型有料老人ホームの個室料金プランから算出した中央値。入居時費用は0円プランを除き、月額26.6万円は入居時費用ありのプランが対象。

