メカニズム④モヤモヤした違和感

ときに、本音は言葉になる前の「感覚」として存在します。「なんとなくイヤ」「ピンとこない」「これじゃない感」「モヤモヤする」こうした感覚は、購買において極めて重要な役割を果たします。しかし言語化できないため、アンケートでもインタビューでも捉えられないのです。

具体例4 転職サイトを使わない理由

30代会社員が、転職サイトに登録したものの、結局使わずに放置しています。なぜかと聞かれれば、「忙しくて時間がない」「今の会社もそこまで悪くない」と答えるでしょう。

しかし、本当の理由は、もっと曖昧で、もっと深いところにあります。

▲「転職活動を始めることは、自分の敗北を認めるような気がする」
▲「求人を見ると、自分の市場価値が低いことを突きつけられる気がする」
▲「転職先でもうまくいかなかったら、もう逃げ場がない気がする」

こうした明確な「思考」ではなく、モヤモヤとした「感じ」――本人も、なぜそう感じるのかは説明できませんが、行動にブレーキをかけています。「感じ」の多くは、不安、恐怖、抵抗感といった負の感情です。

▲「なんとなく怖い」→失敗への恐怖、未知への不安
▲「なんとなく違う」→自分のアイデンティティとの不一致
▲「なんとなくイヤ」→過去のイヤな経験との無意識の結びつき

言語化するには、深い内省が必要です。しかし、アンケートの回答時間は数分。言語化される前に、「時間がない」「価格が高い」という表面的な理由で片付けられてしまうのです。