よりよき人生に寄り添う投資のあり方

「単なる投資の指南書なら、私よりも専門知識を持った方々が書いた本が数多くありますよね。私が本書を執筆するに当たってまず考えたのは、どう投資したらいいのか迷っていたり、投資に恐怖心を抱いていたりする人に向けて、肉乃小路にくのこうじニクヨという自分ならではの人生に基づいた投資に対する思いをお伝えしたいな、ということでした」

慶應義塾大学在学中から女装をスタートし、卒業後は金融業界で勤務した肉乃小路さん。証券会社、銀行、保険会社などを渡り歩き、新宿2丁目の夜の社交場で人間観察力に磨きをかけてきた。そして、42歳で退職し、フリーランスとして生きていく道を選ぶ。まさに、肉乃小路さんならではの人生を歩んできた。

肉乃小路ニクヨ
肉乃小路ニクヨ
経済愛好家、ニューレディー、コラムニスト。慶應義塾大学卒業後、金融業界で勤務し、お金のプロとしてさまざまな提案を行う。42歳で退職後はフリーランスとして、自分らしく生きるのに必要なお金との付き合い方をメディアで発信。

「未来はよくなると思いながら、私は生きてきました。同時に、そうしたなかで自分自身を変容させ、もっと自由な自分になっていきたいと考えてきたのです。実は、投資をすることで、未来がどう変化するかを考えるようになれます。また、そのことは自分の仕事においても、新しい目標設定や潜在的な課題の抽出などに役立ち、さまざまな経験を積み重ねることによって、変化に対応する力を身に付けられるんですよ」

投資のスタートで、ぜひ利用したいツールが2024年1月から始まった「新NISA」。通常、利益に20.315%かかる税金の非課税期間が無期限になり、途中で投資資産を売却すると、その分だけ翌年に非課税枠が復活する。

「若い世代の人たちは、子どもの進学や住宅の購入など、大きな出費をともなうライフステージがいくつか控えています。それらへの対応に新NISAはうってつけですし、時間的に余裕のある優位性を生かして、長期投資を行いながら老後資金への備えを進めていくこともできます」

『いま必要なお金のお作法 幸せを呼ぶ40のマネープラン』

投資した資産が増えていけば、その一部を現金化して、自己研鑽や趣味の世界など、新しい経験を積むことにも投じる。そうすることによって、自己変容を図っていくのだ。お金は貯めるだけでは意味がなく、真に生きたお金の使い方を心がける。

「投資で早期リタイアを目指す人もいらっしゃいますが、私は人生の最期まで仕事と投資を続けていくつもりです。そうすることで稼ぎを得ながら、さらに新しい経験を積み重ねて、自分を変容させ続けていきます。そして、自分のすぐ近くにある幸せを感じながら生きていきたいのです」

肉乃小路さんの思いと具体的な投資手法が綴られた本書は、投資をしながらよき人生を歩もうと考える人の背中をそっと押してくれる。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2025年3月7日号)の一部を再編集したものです。

(文=伊藤博之 撮影=西尾豊司)

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