成果を出したければ「自分に優しく」が一番の近道

「現代のリーダーは、自分に優しくしてはいけないと思い込んでいる」

本書の著者である若杉忠弘さんはこう訴える。ビジネススクールで大企業の幹部候補生などに向けて「グローバルリーダー育成」を専門に日々講義をする中、「日本の管理職はかつての強いリーダー像の呪縛に囚われている」と感じるという。

若杉忠弘 グロービス経営大学院教授。東京大学工学部・大学院を経て、外資系コンサルティングファーム入社。2013年からグロービスへ参画し、グローバルリーダーの育成に従事している。一橋大学博士。
若杉忠弘
グロービス経営大学院教授。東京大学工学部・大学院を経て、外資系コンサルティングファーム入社。2013年からグロービスへ参画し、グローバルリーダーの育成に従事している。一橋大学博士。

「あらゆる点で『成果』を求められる昨今ですが、であるならば、自分にストイックであるよりもむしろ優しく接したほうが、仕事を成果に結びつける近道であることを知ってもらいたいです」

著者が本書で伝えるのは「セルフ・コンパッション」というスキルだ。自分に対して優しく声掛けすることで心身を整え、自信を持って仕事に臨むことができるという。またこの技術を実践することで疲弊感や自己犠牲感が減り、自分やチームの成果を効果的に生み出すことにつながる。

若杉忠弘『すぐれたリーダーほど自分にやさしい』(かんき出版)
若杉忠弘『すぐれたリーダーほど自分にやさしい』(かんき出版)

「私もかつては『今のままではダメだ』と自分に厳しいリーダーでした。結果として体調を崩し、メンタル的にも燃え尽きかけてしまったのですが、そんなときにセルフ・コンパッションと出合いました。実践してみたところ劇的な効果があり、これは多くの人に伝えたいと思い、日々活動しています」

現代のリーダーは「理想の上司像」を追い求めすぎてはいないだろうか。部下の話を丁寧に聞き、経営陣の無茶ぶりに文句も言わずに対応し、失敗したらその責任はすべて自分が負う……。

「たくさん心に傷を負っているのに、まるでなかったかのように振る舞っている。でも、どこかで必ず無理がきます。気合や根性でごまかすのではなく、自分の傷に優しくガーゼを当てる。それがセルフ・コンパッションの技術です」

真面目で理想が高い管理職にこそ読んでほしい本だ。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2025年1月31日号)の一部を再編集したものです。

(文=プレジデント編集部 撮影=大崎えりや)

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