アベノミクスで景気がよくなり、金利が上昇していくかもしれないという時期に、すでに住宅ローンを組んでいる人は、どうすればいいのだろうか。繰り上げ返済をしたほうがいいのではないかと思う人もいるようだが、繰り上げ返済はその分元金が減るだけで金利上昇には直接対抗できるわけではない。いざというときのためのお金300万円と教育資金のためにそれまで貯めてきた分は除き、それ以上の貯蓄がある場合には繰り上げ返済に回してもいいと判断しよう。しかし、40~50代で子どもに教育費がかかる世代は、そもそも繰り上げ返済に回せるような余裕はそれほどないはずだ。
それよりも住宅ローンを借りている人が、今検討すべきなのは「借り換え」であることを認識しよう。固定金利タイプの中でも、一番競争の激しい10年固定が1.3~1.5%程度と、ここ数カ月史上最低水準にあるため、絶好の借換時期なのである。1%未満の変動金利型ローンを借りている人は、金利が低い今のうちに10年固定などの長期固定のローンへ借り換えよう。固定金利タイプのローンを組んでいる人も、金利水準が下がっているので、さらに金利が低い固定金利のローンへ借り換えるとおトクになるケースも出てくるはず。
具体的には全期間固定ローン以外で2%以上の金利で借りている人は、借り換えをすればトクになる。2005年くらいまでに住宅ローンを組んだ人は、最初の固定期間が終わり、金利割引が縮小されている頃だから、固定金利タイプの基準金利が3.5%以上、変動金利でも2.475%となり、縮小後の金利割引0.4%を引くと、約2.1~3.1%以上で借りている人も少なくない。10年固定でも3%近い水準で借りている人は、10年固定1.3~1.5%に借り換えればメリットは大きい。
まだローン残高がかなり残っている人、今後の金利変動でドキドキしたくない人は、史上最低水準の10年固定に借り換えて、10年間は確実にローンを返していくことをおすすめする。日常の忙しさにまぎれて、住宅ローンの見直しはなかなかできない人も多いもの。今は、住宅ローン借り換えのラストチャンスと心得て、できることをすぐに実行していくことが鍵となる。借り換えるときには、抵当権の抹消、設定の費用や、保証料などの諸経費が数十万円かかるもの。結構な負担になるので、保証料のいらない銀行から借りるのも選択肢となる。