いじめ問題に潜む『羅生門』状態を鮮やかに暴くミステリー

朝比奈あすかは、過熱する中学受験の現実に切り込んだ『翼の翼』(光文社)をはじめ、学校と子供と親とを取り巻く家族小説の名手として知られている。

本書『普通の子』の素材も、小学校の「いじめ」問題だ。帯にこうある。「成績は平均的。口答えもそれほどしない。ごくごく普通のわが子が教室のベランダから飛び降りた」。

『普通の子』朝比奈あすか 著
普通の子』朝比奈あすか 著 角川書店/本体価格1700円+税

が、読後、最初に連想したのは、黒澤明の映画『羅生門』である。そして、アガサ・クリスティのミステリーだ。しかも、本書はある意味で『羅生門』よりアガサのミステリーより怖い。なぜならば、設定となるのはどこにでもある公立小学校のクラスの子供たちであり、親子3人の家庭であり、共働きの夫婦だからである。誰もがこのミステリーの登場人物になりえるのだ。

(イラストレーション=保光敏将)
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