このほか、中長期的な目線においては、東京エレクトロンのインドにおけるTata Electronicsへの技術開発協力や、日本におけるRapidusとの協業なども、顧客との早期からの関係強化を通じて、将来的な装置需要を獲得するための布石として位置付けられるだろう。
また、サービス事業の強化も重要な取り組みだ。MATCH法案の項でも触れたが、半導体製造装置は一度導入されると長期にわたり保守点検や部品交換などの需要が発生する。このため、アフターサービスは顧客の設備投資動向に左右されにくい安定収益源として、市況変動への耐性を高めるうえで重要な役割を持つ。
実際、東京エレクトロンは「アフターマーケットにおける収益拡大」を現行の中期経営計画における戦略の一つに位置付け、遠隔保守サービスやデータ・AIを駆使した予知保全などの高付加価値サービスの構築に取り組んでいる。また、SCREENも「ポストセールス比率の向上」を事業成長戦略の主要項目に掲げるほか、2027年3月期には同事業の通期売上が初めて1000億円を超える見通しとなっている。
AI需要だけに依存しない成長戦略が不可欠
これらに加えて、車載、産業機器、パワー半導体、イメージセンサーといったAI以外の領域や、成長途上にある先端パッケージ市場の獲得なども、事業ポートフォリオの拡大を通じたリスク分散という観点で重要となる。
特に先端パッケージに関しては、東京エレクトロンの3次元積層向けウエハボンディング装置やSCREENのPLP向け塗布装置など、新たな工程領域への展開を通じた事業機会の拡大も図られている。
以上のように、最大の成長市場が「中国」から「AI」へとシフトし、それに伴いリスクの形も「地域依存」から「顧客依存」へと変化していくなかで、装置メーカー各社には、足元のAI需要の獲得だけに留まらず、その先の市場の変化にも柔軟に対応するための戦略が求められる。各社の真価は、現在の高成長のさらに先でこそ問われることになるだろう。


