AI特需を追い風に、日本の半導体製造装置メーカーが好決算を相次いで発表している。一方、主要5社の中国向け売上比率はピーク時の45.0%から26.3%まで低下した。伊藤忠総研の小林泰斗副主任研究員は「成長市場が中国からAIへ移るなか、リスクも『地域依存』から『顧客依存』へ変わりつつある」という。各社がAI特需の先に描く“次の勝ち筋”とは――。
2026年3月5日、ギリシャのアテネで、東京エレクトロンが半導体製造用装置を製造している様子。
写真=Nikos Pekiaridis/NurPhoto/NurPhoto via AFP/時事通信フォト
2026年3月5日、ギリシャのアテネで、東京エレクトロンが半導体製造用装置を製造している様子。

半導体株の急落に歯止めをかけた好決算

半導体製造装置メーカー(以下、装置メーカー)を取り巻く空気が大きく揺れ動いている。

AI向け需要への期待を背景に急上昇を続けてきた半導体関連株は、7月下旬に大きな下落局面を迎えた。相場の勢いが実需を超えているのではという過熱感への警戒や、拡大を続けるAI向け設備投資が果たして回収可能なのかという持続性に対する懸念が世界的に広がったためだ。

米国市場で半導体株が売られたのを契機に、日本市場でもキオクシアを筆頭に多くのAI・半導体関連銘柄で売りが拡大、7月の日経平均株価は月間でおよそ5700円(約8%)下落する事態となった。

こうした下落基調に歯止めをかけたのが、7月末にかけて発表された主要日系装置メーカー各社の好決算であった。

2026年4~6月期の各社決算は、アドバンテストが売上高3675億円(前年同期比39.3%増)、営業利益1900億円(同53.3%増)東京エレクトロンが売上高7323億円(同33.3%増)、営業利益2114億円(同46.1%増)と、いずれも大幅な増収増益となった。

台湾向け67%増、韓国向け73%増

一連の決算を通じて示されたのは、AI用途の先端半導体向けの設備投資需要が依然旺盛であるという事実だ。

例えば東京エレクトロンでは、先端ロジック・ファウンドリ拠点の集積地である台湾向けの売上が前年同期比66.9%増、メモリ拠点の集積地である韓国向けの売上が同72.6%増といずれも大幅に伸長した。

今後の見通しについて、東京エレクトロンの川本弘CFOは「下期はメモリや先端ロジックを中心にさらに出荷が増加し、上期を上回る力強い成長を想定している」と述べた。このほか、アドバンテストのダグラス・ラフィーバCEOも「推論AIに関する領域では検査装置の需要が当初想定を上回る勢いで伸びている」と発言するなど、揃って強気の見通しを提示した。

各社の決算発表後には関連銘柄も含めて買い戻しの動きが広がり、特にアドバンテスト株に関しては終値ベースでも前日比10%超の上昇をみせた。

しかし、こうした好調の裏で、日系装置メーカー各社の事業環境にもう一つ大きな変化が生じていることにも目を向ける必要がある。これまで最も大きな割合を占めてきた中国向け売上の比率低下だ。