そうした動きを示すのが、中国政府主導の半導体専門ファンドである国家集成電路産業投資基金、いわゆる「大基金」だ。2期目(2019~2024年)までは主に半導体設計・製造領域を対象としていたが、足元で進行中の第3期は、過去最大となる3440億元(約7兆4000億円)規模の資金を調達。支援対象先のなかで製造装置・材料関連が占める比率も大幅に上昇したとみられている。
中国の装置国産化率が上昇
さらに、ロイター通信が2025年末に報じたところによれば、中国当局は国内の半導体工場に対し、新規設備投資の少なくとも50%を国産装置とすることを求めているという。公式文書化されたルールはないものの、工場の新設・増設にあたって、調達入札を通じて国産装置の比率を示すことが求められている模様だ。
このように、海外製装置への依存からの脱却を図る動きが国全体で進んだ結果、中国地場の製造装置メーカーは、主にレガシー(成熟)領域が中心ながらも、急速に成長を遂げている。
例えば、日本経済新聞は今年6月、調査会社グローバルネットの分析を引用し、2025年には半導体製造装置メーカー上位20社(筆者注:検査装置は対象外)のなかに、5位の北方華創科技集団(NAURA)をはじめ、13位の中微半導体設備(AMEC)、20位の上海微電子装備(SMEE)と計3社の中国企業が名を連ねたと報じた。2022年時点では8位のNAURA1社のみにとどまっていたことを踏まえれば、中国勢の存在感は短期間で大きく高まったことになる。
さらに、フランスの調査会社Yole Groupの分析によれば、中国における半導体製造装置の国産化率は、2021年の8%から2025年には23.2%まで上昇しており、2030年には39%に達すると見込まれている。
また、同分析は最先端プロセスのカギとなる露光装置はなお長期的な課題として残る一方、日系装置メーカーが一定の強みを持つエッチング、成膜、CMP等の装置群では代替が進んでいるとも指摘している。こうした動きが進めば、これらの装置群に一定の強みを有する日本勢にとっての影響はますます大きくなることが予想される。
米国によるさらなる規制強化の予兆
そしてもう一つの大きな制約要因となるのが、米国による対中輸出規制の強化である。
2022年に始まった輸出規制は、最先端のAI半導体やEUV(極端紫外線)露光装置を対象とすることで、中国による最先端半導体の入手・製造を阻止する狙いがあった。しかし、2025年10月には、米議会下院の「中国問題特別委員会」において、「中国が規制の抜け穴を突き、2024年に世界の主要装置メーカーから合計380億ドル相当の先端半導体向け製造装置を購入していた」との報告が提出された。

