このほか、中国のファウンドリ(半導体製造受託)大手である中芯国際集成電路製造(SMIC)や華虹集団が、EUV露光装置の1世代前にあたるDUV(深紫外線)液浸露光装置を用いて最先端レベルである7ナノ半導体を製造していることも報じられており、現行規制における抜け穴の存在と規制強化の必要性が度々指摘されていた。

こうしたなか、現在米議会において議論が進められているのが、「ハードウェア技術規制の多国間調整法」、通称MATCH法案だ。同法案は2026年4月2日に米下院で提出され、上院でも4月8日に姉妹法案が提出されるなど、超党派での検討が進んでいる。

ワシントンD.C. ハイテクスマートシティ
写真=iStock.com/Jarmo Piironen
※写真はイメージです

現時点では成立時期など含めて未確定部分も多いMATCH法案だが、仮に成立すれば日系装置メーカーへの影響は決して小さくない。その最大のポイントは、輸出規制の対象を、先述のDUV液浸露光装置などの「準先端」領域まで拡大するだけでなく、日本やオランダなどの同盟国に対しても、「米国と同水準の厳格な輸出規制を150日以内に導入する」よう要請している点にある。

同盟国が期限内にこれに応じない場合、米国側は「外国直接製品規則(FDPR)」を適用できるとされている。これは、米国製の技術が用いられている製品であれば、米国が単独で輸出を差し止めることができるという強力な措置だ。

日蘭の製造装置にも、米国製の技術は設計・制御ソフトや部品といった形で使用されている。このため、同法案が成立すれば、日蘭が対応せずとも、米国の独断により中国向けの販売が制限されてしまう可能性がある。

アフターサービスまで封じられる恐れも

さらに重要なのは、規制の対象が新規装置販売だけに留まらない点だ。

上院側の発表では、MATCH法案は、「同盟国との規制調和に加え、サービスや特定企業向けの抜け穴を閉じるもの」だとしている。つまり、中国に納入済みの装置に対する修理、保守、部品交換、ソフトウェア更新、技術支援といったアフターサービスまでもが規制の対象に含まれる可能性があるのだ。

装置メーカーにとって、これらのサービス事業は安定的な収益源であるだけに、実際に同領域まで制約が広がれば、各社の中国向け事業への影響はより大きなものとなる。

「中国比率低下」の二つの側面

以上のように、短期的には貿易統計が中国向け売上の減少傾向を示唆しており、中長期的には中国の内製化進展と米国による規制強化が事業機会を狭める方向に働き得る。

中国市場はその巨大さゆえ、直ちに重要性を失うことはない。しかし、成熟領域では中国地場メーカーとの競争が強まり、先端・準先端領域では米国による規制のリスクが増していくなかで、日系装置メーカーが以前のように中国市場で売上を伸ばし続けていくためのハードルは確実に高まっている。