パレスチナの外務省に到着
そうして西岸地区に入ってみると、確かにガザ地区とは違って戦闘地域になっているわけではないのですが、イスラエル側のインフラと比べると圧倒的に貧しく、道路の舗装もままなりません。イスラエル側では道路の真ん中に街路樹が立っていたり、市民がオープンテラスでカフェを楽しんでいる場面を垣間見ましたが、西岸地区ではそうした雰囲気は一切ありませんでした。街中にゴミがあふれ、ビルも建ってはいますがごく貧しいものです。スラムと呼んでも差し支えないような風景の中に、しっかりした住宅がポツポツ点在しているのを見ましたが、それらはおそらくイスラエル側からの入植者のものなのでしょう。
難しい状況の中にあるパレスチナは、国としてのガバナンスが利いていません。それでも自治政府としての機能はあり、外務省も存在します。西岸地区に入り車で20分ほど移動して、パレスチナの外務省に到着しました。
そこでリヤード・マーリキー外相とお会いし、ガザ地区で亡くなられた市民のご遺族への追悼の意などをお伝えしたところ、マーリキー外相からはガザ地区が深刻な非人道的状況に直面していること、西岸地区においても緊張や暴力が高まっているとの発言がありました。
イスラエル側、パレスチナ側と会談し、ヨルダンへ
今回の件に関しては、明らかにハマスによるイスラエルへのテロ攻撃が発端になっており、国際社会が人質解放や事態の早期鎮静化を求めるのは当然のことです。しかし一方で、ガザ地区の深刻な人道状況については日本としても看過できません。そこで私は自らの外交テーマでもある「WPS(Women, Peace and Security:女性・平和・安全保障)」の観点から、特に子どもや女性が被害に遭っていることに対する懸念を伝えるとともに、一日も早くガザ地区の人々に必要な支援を届けることが目下の緊急課題であると述べました。
そのうえで、この時点ですでに決定していた日本政府からの1000万ドルの緊急無償資金協力に加え、当面の措置としてパレスチナに対する約6500万ドルの追加的な人道支援や、JICA(国際協力機構)を通じた支援物資の供与を行うべく、すでに取り組みを始めていることも伝えました。
こうしてまずイスラエル側、パレスチナ側、双方の外相らと会談し、翌日はヨルダンへ移動してアイマン・サファディ外相と会談しました。

