「たった20円でこんなに」という驚き

かけそばが430円。そこへ20円足すだけで、かき揚げと玉子が付く。今考えても、「よくこの値段で始めたな」と思います。

でも、その価格だからこそ、お客様は驚いてくださったのです。

「20円でここまで付くの?」
「朝からこんなに食べられるの?」

その驚きが、そのまま満足につながりました。

今でも朝そばが人気なのは、利益率ではなく、お客様の満足度を優先したからだと思っています。実は、こういう商品は計算通りには生まれません。ヒット商品は、理屈より勢いで決まることが多い。

「これならお客様が喜びそうだ」

そんな現場の感覚から生まれた商品ほど、不思議と長く売れ続けます。

もちろん利益は大切です。会社ですから利益が出なければ続きません。でも、一つ一つの商品で利益を最大化しようとすると、お客様は敏感に気づきます。

「前より少なくなった」
「なんだか得した気がしない」

そう感じた瞬間、次の来店は遠のいてしまいます。

一方、「こんな値段でここまでやるのか」と感じてもらえれば、お客様はまた来てくださる。その積み重ねの方が、結果として会社は強くなります。私は、商品を作る時に「利益率は何パーセントか」より、「お客様は得したと思うだろうか」を考えます。その感覚がある限り、お客様は何度でも足を運んでくださる。

そして、その積み重ねが、長く愛される店をつくるのです。

まとめ
お客様の満足が利益を連れてくる

「50円引き」は絶対にやらない

ゆで太郎へ行くと、お会計の時にお客様がお財布から小さな券を取り出して店員へ渡している光景をよく目にします。

今ではゆで太郎の名物になった無料クーポンです。海老天、かき揚げ、コロッケなど8種類の無料券が1冊になっていて、430円以上のお会計で1枚使える仕組みです。

ゆで太郎の無料クーポン
画像提供=ゆで太郎システム
ゆで太郎の無料クーポン

このクーポンを始めたのは17年前、2009年のことでした。創業5年を迎え、「感謝セールでもやろうか」という、ちょっとした思いつきから始まった企画です。

ただ、一つだけ最初から決めていたことがありました。「10円引き」「30円引き」「50円引き」は絶対にやらない。そう決めていたのです。