価格を決めてから、経営を考える

価格を先に決めるからこそ、その価格を実現するために、原材料を見直し、ダシの取り方を変え、製麺方法を工夫し、仕入れ先も何度も見直してきました。

価格に合わせて商品を作るのではなく、価格を守るために経営そのものを変えてきたのです。

朝の時間帯は、この考え方が最もよく表れています。朝は価格を重視して来店されるお客様が非常に多い。「安いから来る」という前提がある以上、その価格を維持すること自体が競争力になります。

もし昼と同じ価格帯だったら、お客様は半分以下になっていたかもしれません。もちろん、時代とともに相場は変わります。いつか朝食が700円でも普通と言われる時代が来るかもしれません。

また、もっと安い価格で朝食を提供しているチェーンもあります。しかし、それは24時間営業というビジネスモデルがあるから成立する価格です。同じ価格をそのまま真似しても、同じ結果にはなりません。

ゆで太郎には、ゆで太郎に合った価格があります。朝は500円、昼は800円台。まず価格を決める。そして、その価格で「美味しい」「満腹」「また来たい」を実現する方法を考える。

価格は経営の結果ではありません。経営の出発点なのです。

まとめ
価格を先に決めるから、経営は強くなる

「天ぷらには玉子」と鶴の一声

商品開発をしていると、「もう少し利益率を上げられないか」という話は必ず出ます。

原価を下げる。量を少し減らす。トッピングを減らす。経営だけを考えれば、どれもありそうです。

でも私は、「お客様が得したと思えるか」を先に考えます。その考え方を象徴しているのが、朝そばです。

もともと朝のメニューは、ご飯付きのカレーと納豆の2種類しかありませんでした。ところが、「朝はそばだけでいい」「こんなに食べられない」という声を多くいただくようになり、新しい朝メニューを考えることになりました。

最初は、かき揚げを半分にして、かけそばと同じ価格で提供する案でした。ところが実際にやってみると、半分に切る方が手間がかかる。切り方によっては崩れてしまいますし、社内からも「半分じゃ、せこく見える」という声が上がりました。

それなら、いっそ1枚そのままのせよう。そんな話になりかけた時、当時の東京・竹芝店の店長が言いました。

「社長、天ぷらには玉子でしょう。やっぱり天玉そばですよ」
「じゃあ、それでいこう」

本当にそのくらいの勢いで決まりました。

温泉たまご
写真=iStock.com/Bosco Yip
※写真はイメージです