毎日運動しても減量効果は5kg程度
人体が1日で消費するカロリーのうち、60%以上は脳や臓器などの生命活動に使われています。これを「安静時消費エネルギー」と言います。残る40%のうち、10%が食べ物を消化し栄養素を作るのに使われ、残り30%が運動を含めた1日の生活に使われます。
1日の生活で30%なら、運動自体の消費カロリーはほんの数%になります。
これが運動しても痩せない、短期的な理由です。多くの人が思うよりも、運動が占めるカロリー消費割合はずっと低いのです。
とはいえ、毎日運動していれば、塵も積もれば山となって、痩せていくと思いますよね。
もちろんある程度は痩せます。しかし日常的に「食べなさ過ぎ」でガリガリの人は見たことがあっても、「運動のし過ぎ」でガリガリの人を見たことはないでしょう。これが運動しても痩せない長期的な理由です。体の脂肪を消費するのではなく、代謝自体を下げてしまうのです。
アメリカでのいくつかの研究結果から、運動のみでは、1日の消費カロリーは220カロリー程度なので、毎日運動を続けたとしても、体重にしてせいぜい5kgの減量が限度ではないか、とされています。運動で普段よりも消費されるエネルギーが大きいと、他の分で消費されるエネルギーが減り、全体のバランスが保たれます。
痩せにくく太りやすい方が生き延びる
たとえば、激しい運動をすると炎症反応が弱まる場合が多く、エストロゲンなどの生殖ホルモンのレベルが下がります。実際に、動物実験の結果、日々の運動量を増やしても消費カロリーは変わらず、その代わりに排卵周期が遅くなり、組織の修復も遅くなります。
しかも長期的に見れば、筋肉がつくことにより運動自体の消費カロリーが減っていき、ついには元々のカロリー消費に戻っていくのです。なんでこんな体になっているのでしょうか。
これは、痩せにくく太りやすい方が、生存に有利だからです。そもそもカロリーをより多く消費したいと思っているのは、歴史的に見ても、全動物の中で現代人だけです。昔の人類からすればカロリーは非常時に蓄えておくものです。だからこそ、食べれば太りますし、運動してもカロリーを過度に消費しないように進化したのです。
では、運動することは健康に悪いのでしょうか。

