ゲームしている現代人とカロリー消費量は一緒

それはハッザ族のエネルギー消費量は、欧米人と変わらないという衝撃の計測結果でした。狩りをしている人たちと、ゲームをしている私たちの消費カロリーが一緒とは、とても信じられません。

【図表1】よくわかる「一狩りいこうぜ」の消費カロリー
出所=『科学の教養大全』(Gakken)P259

この結果を後押しする実験結果はいくつかあります。たとえば、同じ距離を走るのに、ジョギングと全速力では、どちらがカロリーを消費すると思いますか?

速く走った方だと思うでしょうが、実は、消費カロリーは一緒なのです。全速力だろうがジョギングだろうが、同じ距離なら消費カロリーは変わりません。

走る速度は、消費カロリーにほぼ影響しないことが分かっています。ただし1分あたりの消費カロリーは違います。同じ時間であれば、速く走る方が多く進む分、カロリーを多く消費出来ます。他にも、動物園で飼育されている霊長類と、野生に住む霊長類のカロリー消費量も、おおよそ同じであることが分かっています。

これらの事実はすべて、動物のある1つの特徴が原因です。

動物を動かす「代謝」の仕組み

それが「代謝は柔軟である」という特徴です。

代謝とは、動物が生きるための1サイクルです。生物は食べ物を消化し、各細胞でエネルギーを燃やして発電し、体を動かしています。代謝は、動物を動かすエンジンです。この性能は動物の生存に直結するため「代謝」という発電方法のエネルギー効率は頭抜けています。

たとえば皆様は「おやつにドーナツを1個食べると、その分のカロリーを消費するのに、人は4km走らないといけない」と聞いたことはありませんか?

子どもの頃私は、いくらなんでも4kmは長過ぎでしょう、と思いました。これは逆に言えば、人体は「ドーナツ1個のカロリーで数十kgの体を4kmも動かせる」ということです。抜群の燃費であると言えます。

この代謝の最も異質な特徴が「柔軟性」です。1日の総消費カロリーには、ホメオスタシス(恒常性)が働き、多少運動をしても、消費カロリーが増えません。運動して消費されたカロリー分、どこかのカロリー消費が削られているのです。