週に一度でも予定を先に入れてみる効果

こうした現状は、人々の理想とは大きくかけ離れています。

内閣府が令和5年度に実施した「国民生活に関する世論調査」では、今後の生活で特に力を入れたい分野として「レジャー・余暇生活」を挙げた人は32.2%にのぼりました。

この数値は「自己啓発・能力向上」を挙げた13.8%を大きく上回っています。

多くの日本人が、自身の余暇をより充実させたいと望む一方で、現実には平日の夜に具体的な予定を立てる意向を持っていないという実態があります。

理想とする過ごし方と現実の過ごし方の間に、明確な乖離が生じているといわざるを得ません。

この状況を変えるには、まずは週に一度でいいので、強制的に予定を入れてみてください。内容はジムでも語学クラスでも、あるいは友人との食事でも構いません。

予定を先に入れると、その日の退社時間が自動的に「先に決まる」ことになります。

退社時間が決まることで、ようやく自分の時間を主体的に生み出すことができるようになります。

「自分時間」へ頭を切り替えるための“儀式”

世界の一流と呼ばれる人々は、早めに会社を離れたあと、「仕事時間」から「自分時間」へと切り替えるためにある“儀式”を設けています。

弊社が2025年から26年にかけて、欧米やアジアのグローバル企業のエグゼクティブを対象に実施した調査では、全体の81%が「職場でも自宅でもない、定期的に通う場所がある」と回答しました。

彼らはサードプレイスと呼ばれる場所に足繁く通い、日々のルーティンに取り入れています。

こうした場所が必要とされるのは、そこが「思考のモードを切り替えるための重要な拠点」として機能するからです。

私がマイクロソフトに勤務していた頃も、優秀な同僚たちの多くは特定のコーヒーショップの常連でした。

彼らは週に3回ほど、退社してから帰宅するまでの間に決まったカフェへ立ち寄り、30分から1時間程度の時間を過ごすことを習慣にしていました。

木製のテーブルの上にホットミルクアートコーヒー
写真=iStock.com/Vershinin
※写真はイメージです

彼らはそこで仕事の続きをすることも、何かの勉強に励むこともありません。ただその場所に身を置き、コーヒーを飲んでいるだけです。

それだけで、仕事に従事していた脳が、別の状態へと切り替わるのだ、と彼らは口にしていました。

周囲からの評価や果たすべき義務から物理的・精神的に距離を置く時間は、自分自身を回復させるために不可欠な役割を果たしています。