若者や現代社会を解釈できるかのように言うが…

「とんでもない気持ちにさせられた」(上田氏)り、「子供と親の感覚がかなりかわるはず」(鈴木氏)といったように、素直な感想を吐露しているだけなのかもしれない。この率直な思いを表明する姿に、世代間のギャップがあり、そして、この映画のヒットの理由がある。

「ベストファーザー」に贈られるイエローリボン賞に選ばれ、喜びを語る鈴木おさむさん=2024年6月4日午後、東京都千代田区
写真=共同通信社
「ベストファーザー」に贈られるイエローリボン賞に選ばれ、喜びを語る鈴木おさむさん=2024年6月4日午後、東京都千代田区

それは、「なんか小さくてかわいいやつ」が、「あんな話」であったり、「とんでもない映画」であったりするところから、いまの若者や、ひいては現代社会を解釈できるかのような錯覚を与えているからではないのか。

先に触れたように、この映画は「ネタバレ」の危険がない。というよりも「ネタバレ」を前提として、その答え合わせをしにいくかのようにスクリーンの前に座っている人が多いと見られる。スマホでレビューに触れてから、原作に忠実なところに安心した上で、その高評価を確かめるかのようにチケットを購入する。