メンタル不調に気づくための“5秒の習慣”

では、忙しい日々の中で、自分のメンタル不調にどう気づけばいいのでしょうか。

船見さんは、メンタル不調のサインは「疲れたときに出る症状」そのものだと話します。

「肩こり、腰痛、吐き気、集中力の低下、気力の低下、いわゆる“疲れたときに出る症状”は、すべてメンタル不調のサインだと言えます。

メンタル不調と聞くと特別なことのように思えるかもしれませんが、疲れたときの状態と捉えれば、より身近に感じるのではないでしょうか。

人それぞれ疲れたときに出る症状があるはず。私は肩こりですが、そうした自分特有のサインにまず気づいてあげることが大切です」

併せて、心の状態を日常的にモニタリングする必要もあると語ります。船見さんがすすめるのが「心の元気度」を毎日点数化するという方法。

「10点満点で、今の元気度は何点なのか。直感で構わないので、毎日同じ時間にパッと点数をつけるんです。5秒あればできますよね。

これはストレスを可視化することで、心の状態に意識を向けるためのアクションです。体重を毎日測ると食生活に意識が向くのと同じです。

続けていくと『平均点』が分かるようになり、いつもは8点くらいなのに5点や6点に下がったときに『今、疲れているかもしれない』と気づけるようになる。

● 7点以下が3日続いたら黄色信号
● 5点以下になったら休養優先

など、自分なりの基準を決めておくと、より活用しやすいと思います。

気づけないものはコントロールできません。そのためには、可視化して、記録して、傾向を見ることが欠かせないでしょう」

メンタル不調に気づくサイン
● “疲れた時に出る症状”が出ている
● 「心の元気度」が下がっている

睡眠は大事なビジネススキルの一つ

不調のサインに気づいたら、次に何をすべきか。船見さんが真っ先に挙げたのは「睡眠」です。

「管理職研修などで皆さんに睡眠時間を聞くと、6時間が一番多く、4〜5時間という方も少なくありません。不調になりやすい方ほど睡眠時間が短い。眠れないことからメンタル不調が始まるケースも多いんです。疲れたなと思ったら、いつもより1時間早く布団に入ることを意識してみてください。

眠れなくても構いません。布団に入って横になっているだけでも疲れは取れるので、とにかく早めに布団に入ること。アスリートが睡眠を大切にするのは、睡眠の質や量が自分のパフォーマンスに直結するから。これはビジネスパーソンも同じです。睡眠も大事なビジネススキルの一つと捉えるべきでしょう」

もう一つすすめるのが、筋肉の緊張をほぐすリラクゼーション。中でも船見さんが研修でよく教えているのが「漸進的筋弛緩法」という方法です。

「100年ほど前からある、医療機関でも使われているリラクゼーションです。1回30秒程度でも実践できるため、仕事の合間や会議前にも取り入れやすい方法です。

やり方はとても簡単で、例えば肩をグーッと持ち上げて5〜10秒キープし、ストンと力を抜く。顔なら目と口をギュッと閉じてから緩める。腕なら握りこぶしを作って力を入れ、パッと抜く。これを全身で順番にやっていくと、体の力が自然と抜けてリラックスできます。

体と心は連動しています。

体の力が抜けると、気持ちもほぐれていく。心身ともにリラックスできる方法なので、大事なミーティングの前や、緊張が続いた日の終わりに、ぜひ試してみてください」

すぐにできる! 心身のセルフケア術
● 疲れたなと思ったら、いつもより1時間早く布団に入る
● 漸進的筋弛緩法を試してみる

これからの管理職に必要なのは「自己開示」

そして、不調のサインやケアの方法を知ることと同じくらい大切なのが、周囲との関係性の築き方です。船見さんによると、求められるのは「愚痴」とは異なる「弱さの開示」。

「『私は疲れた』『ちょっとしんどい』というように主語が“私”なら、それは弱さの開示で、『部長がこう言うからさ』『会社のルールがおかしい』と主語が“他者”になるのは愚痴だと私は捉えています。後者は部下に伝えたとしてもあまり意味のないものですが、前者は積極的に伝えてほしいですね。

なぜなら、『疲れちゃった』『これ分からないから教えてくれる?』などと部下を素直に頼ることが、部下との信頼関係を築く第一歩になるからです。

そう言うと、案外部下は助けてくれるものです。管理職が弱さを見せられるようになると、部下も『この人にはこういうふうにサポートすればいいんだ』と分かる。お互いが楽になるんです。管理職だからこそ、自己開示が大事なのかもしれません。

先ほど昇格拒否の話も出ましたが、そういう姿勢を見せることで逆に『管理職になってみてもいいかな』と思う部下も増えそうですよね」

そして「自己開示」のスタンスは、今後管理職を目指したい人にとっても重要だと言います。

「冒頭に述べた通り、管理職にはメンバーとは違った負荷がかかってきます。チーム全体の雰囲気や生産性も考えなければなりません。だからこそ、今のうちにある程度“弱さを見せられる自分”になっておきましょう。自分の仕事は責任をもって進めつつも、上司に自分を理解してもらうよう意識する。それが上司との信頼関係を強くし、望むキャリアに近づく一歩となるかもしれません。

併せて必要なのは、管理職の負担を想像する力とサポート力です。『ここ、手伝いますよ』『お疲れじゃないですか、早く帰ってくださいよ』といった一言をかけてあげるだけで、上司の心はきっと軽くなるはずです」

管理職は「やりがい」と「しんどさ」が同居するポジションです。だからこそ、自分の心身に耳を傾け、周囲との信頼関係を築き、適切にケアする技術が欠かせません。記事でお伝えしたアクションを参考に、できることから実践してみましょう。

【出典】
※マイナビ転職『管理職の悩みと実態調査』

取材・編集:はてな編集部 制作:マイナビ転職

当記事は「MEETS CAREER by マイナビ転職」からの転載記事です。MEETS CAREER by マイナビ転職は、キャリアや生き方、年収アップのヒントを学び「なりたい自分」の解像度を上げるメディアです。時代を牽引するリーダーや自己実現を目指す人たちの思考や行動をインタビューを中心にお届けしています。元記事はこちら
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