公開SNSはスパイにすべて見られている

ロシアはアエロフロート日本支店で得た個人情報で、ヒューミントのターゲットを探していた節があると松丸さんは指摘する。

「偶然を装い人に迫っていく伝統的な手口に加えて、最近はビジネス系SNSで公開されている情報が、ロシアスパイが標的を探すための足がかりになっている現状があります。公開されているSNSは全てロシアなどのスパイに見られていると思ったほうがいい。リンクトインなどをやっている人は個人情報表記に注意が必要です」(松丸さん)

ソーシャルメディア
写真=iStock.com/Kenneth Cheung
※写真はイメージです

人に巧みに迫り、間接的に情報を奪っていくロシアスパイ。偶然を装った接触は他人事ではないだろう。もし接触を受けたらどう対応すべきなのか。

「ロシアスパイは機密を入手できる対象者を幅広く探していて、SNSに特に注目しています。だから自分の情報を相手に取られるということを防ぐには、SNS上に出す個人情報をしぼってほしい」

こうした対策を取っても、ロシアスパイの接触を受けたらどうすればよいのか。

「まずは相手の手口を熟知することです。手口を知っていれば、もし声をかけられたときにロシアスパイの接触だと気づくでしょう。また、これは企業の管理者側向けの話ですが、社内にある情報を1回棚卸しして、これは公開情報、これは社内閲覧のみで外には出さない、取扱注意、これは極秘という風にランク付けしておくこと。仮に社員が情報接触された場合、これは秘密ではないと開き直られる可能性も踏まえて、情報管理を規則でしっかり定めておいて、違反者には厳しい罰則を設けることが必要だと思います」

「スパイ天国」から脱却するためには

高市政権は国家のインテリジェンス機能をより強化すべく、国家情報局を設立した。そして今後スパイ防止法の制定を目指す。

しかし、松丸さんはそれだけでは不十分だという。

「どんなに立派な法律ができたとしても騙される日本人がそこにいる限りはダメなので、法律ができて当局が取り締まりやすくなることに加えて、国民のスパイに対するリテラシーが高まることが最も重要で、これがあってこそスパイ天国を脱却できると考えています。

スパイから見て、日本人って騙しやすかったけど全然話に乗ってこないという状態になれば、法律がなくても、スパイたちはヒューミントがやりづらくなります。だからまずは手口を知ったり、会社も情報管理体制を整えたり、法律以外のところでやっていくことが大切です」

決してフィクションの出来事ではない、日本へのスパイ活動。私たち一人ひとりの対応が、結果的に国のスパイ防止力を高めていくことになるといえそうだ。

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