4万9800円は高いか、安いか
「弊社のスタッフが自分たちで切って食べ比べてみたところ、8割以上が違いを感じられた」(土方氏)そうだ。その差は数値だけでなく体感できるという。
バーミキュラ キッチンナイフは握りの部分にもバーミキュラらしさが息づいている。ハンドルには鍋と同じ薄肉鋳造技術による鋳物ホーローを採用した。「ウッドだと腐食して、ガタガタになってきたりして不衛生」という料理人からの要望に応え、同時に食器洗浄機や乾燥機にも対応する扱いやすさを実現している。
刃渡り165mmの三徳包丁が3万4980円という価格は一見高く感じるかもしれない。しかし、5万円以上の製品が多いプロユースでも使える鋼の包丁、と考えると話は変わってくる。切れ味の良さやメンテナンス性、使い勝手の良さを考えたらかなりお得なのだ。
今回発売されたのは刃渡り165mmの三徳包丁のみだが、プロのための包丁の開発もすすめているという。
社長「柳刃とペティも欲しい」
「トップシェフたちに『柳刃包丁を作ってよ』といわれるので、今使われている柳刃包丁を名古屋特殊鋼に持ってきてもらって3Dスキャンして研究を進めています。柳刃とペティは欲しいですよね」(土方氏)
和包丁特有の片刃で裏側が反った裏すき構造を機械加工で精度高く再現するプロ向けの柳刃包丁は、一般発売は未定ながら、今期中の実現を目指している。
「素晴らしい素材と出会えていいものが出来上がったのでキッチンナイフをホーロー鍋と並ぶ事業の柱としていろいろ展開していきたいと考えています」(土方氏)
6月3日の発売直後は注文が殺到。納期は1カ月待ちになるほどだったという。7月末に解消し、その後は店頭などでもスムーズに購入できるようになるようだ。さらに8月1日からは公式での「バーミキュラ キッチンナイフ研ぎ直しサービス」もスタートしている。オンライン申し込み(送料込み3300円)の他、一部店舗への持ち込みも可能。バーミキュラ フラッグシップショップ(愛知・名古屋/東京・高輪)ではスタッフによる無料での研ぎ直しサービスも実施する。
土方氏の視線は海外にも向いている。海外ではステンレスの包丁がほとんどで鋼の包丁はほとんど普及していないという。だからこそ、ホーロー鍋と一緒に鋼の切れ味と錆びにくさを両立した包丁を、日本のものづくり文化とともに世界へ発信していく構想だ。
鋳物ホーロー鍋を10年かけて磨き上げてきたバーミキュラ。次の10年の成長を担うのは他にはない独自の技術を集約した包丁になりそうだ。



