⑤「なに?」の一言が、詰問に変わる
電話や対面で相手の言葉が聞き取れなかったとき、
× What?
文末を上げて「What?」だけでは、まるで相手の話し方に問題があるかのような印象を与えます。「え、なんでそんな言い方するの?」「怒ってる?」というのがネイティヴの心の声。ちなみに「Say that again?」も尻上がりに言うと「今の、もう一回言ってみろよ?」に聞こえることがあります。
○ Could you say that again? I didn't quite catch that.(もう一度おっしゃっていただけますか? 聞き取れなかったもので)
聞き返せなかった責任を自分側に置くのがポイントです。丁寧に返すなら「Pardon?」(上昇イントネーションで)、カジュアルなら「Sorry?」や「Sorry, what was that?」でも問題ありません。
⑥「いらっしゃいませ」が「もう帰れ」に聞こえる
あなたがワーホリ中に接客係をまかされたとして、店に入ってきたお客さんに、
× Thank you for coming.
って言いたくなりませんか?
実はこれ、帰り際のあいさつ(=来てくださって、ありがとうございました)で使われる表現です。そのため初めて来たお客さんを迎える「いらっしゃいませ」には少し不自然で、「えっ、もう帰れってこと?」という反応を招きます。
○ Welcome in!(いらっしゃいませ!)
英語圏ではまず「歓迎」を示すのが自然です。フレンドリーにいくなら「Welcome! Feel free to look around.」(いらっしゃいませ、どうぞご自由にご覧ください)、接客につなげるなら「How can I help you?」(何かお手伝いできますか?)がいいでしょう。
「正しさ」より「響き」を選べるかどうか
こうして並べてみると、共通しているのは「文法的な誤り」ではないということです。すべて教科書に載っている、正しい英語です。にもかかわらず、言い方や声のトーンなどと相まって相手には「冷たい」「上から目線」「素っ気ない」と届いてしまう。
日本語で私たちは、相手との距離や場面に応じて「どうも」「ありがとうございます」「恐れ入ります」を無意識に選び分けています。英語にも同じ選択肢があり、ネイティヴは同じように選び分けているのです。
「なぜこの言い方のほうが感じがいいのか」が見えてくると、ここに挙げていない場面でも適切な言い方が選べるようになります。言葉を選ぶことは、相手を思いやることと地続きなのです。


