選抜総選挙で「歌唱メンバー選出責任」を手放した

AKB48といえば「握手会」と「選抜総選挙」の2つがよく知られている。

どちらもCD購入者を対象にしたものだが、商品に何らかの物品を追加して販売した事例は、すでに江戸時代にある。富山の薬売りが、お得意先に売薬版画(浮世絵)や日用品をサービスとして置いていったという記録がある。

また1947年、紅梅食品はキャラメルにおまけとして読売巨人軍選手のブロマイドをカードとして添付し、ヒット商品にした。さらに1971年にはカルビー製菓(現カルビー)がスナック菓子に「仮面ライダーカード」をおまけとしてつけて、爆発的な人気を博した。

握手会の発案者は不明だが、総合プロデューサーである秋元のGOサインなくして実行は不可能であることから、このビジネスモデルを「秋元モデル」と呼んでさしつかえはあるまい。「秋元モデル」が出色なのは、CDに景品というものをつけるのではなく、「会いに行けるアイドル」というAKB48コンセプトを具現化したことだ。

これに選抜総選挙が加わる。人気投票だ。ファンクラブに入会するか、直前に発売されるシングルCDに封入されている投票券を入手することによって投票が可能になり、獲得投票数の多い順に次に発売されるシングルの歌唱メンバーが選出される。

オープンで公平な選出法だが、秋元の視点に立てば、歌唱メンバー選出という「責任」からの解放を意味する。要はCDが売れればいいのだ。

貫いた「傍観者」の立ち位置

だが「秋元モデル」には懸念もある。かつて「仮面ライダースナック」は、スナックを買った少年少女たちがカードだけを取ってスナックを捨ててしまうことから、「ライダースナック投棄事件」として社会問題になった。

AKB48の「握手会」「選抜総選挙」はCD販売を装った「参加券ビジネス」であり、千枚単位でCDを購入するファンもいる。過熱すれば批判の声が起こるだろうが、総合プロデューサーの秋元は組織運営の責任者ではない。

すなわち「選抜総選挙」は秋元にとって「選出の責任回避」「運営の責任回避」、そして全楽曲を作詞する秋元にとってCDの売上という一石三鳥の名案ということになる。

2018年、「10回の節目」を理由に「選抜総選挙」は終わる。この年、NGT48の山口真帆暴行被害事件によって、ファンとの関係性や安全管理のあり方が社会問題化した影響によるものとも言われたが、「傍観者」の立ち位置にある秋元は責任を追及されることはなく沈黙を守った。