脳全体を疲れさせると眠りが深くなる

昼間に体をたくさん動かした日は、夜早い時間に眠くなったり、ふとんに入るとあっという間に眠りに落ちますね。これは体が疲れているからです。

加藤俊徳『すぐに実践したくなる すごく使える脳科学テクニック』(日本実業出版社)
加藤俊徳『すぐに実践したくなる すごく使える脳科学テクニック』(日本実業出版社)

実は脳でも同じことが起こっています。

昼間たくさん使った脳番地は、夜には疲れているので眠りたい。でも反対に、使われなかった脳番地は疲れないので眠くなりません。

アメリカのウィスコンシン大学のフーバー氏らが2006年に発表した実験を紹介しましょう。

日中に、ある被験者の片方の手をまったく動かない状態にし、夜間に脳の働きを観察すると、動かせなかった手を支配している脳の部位では、徐波睡眠(ノンレム睡眠の中で最も深い睡眠)の出現が低下しました。つまり、使われなかった脳の部位では深い眠りがとれていないことを示しています。

一部でもきちんと眠れていない脳の部分があると、脳全体の眠りの質は下がってしまいます。だから起きているうちに、使う頻度が少ない脳番地もしっかり使うことが、質のいい睡眠のためには必要なのです。

普段とは違うことをしてみるだけでいい

とはいえ、起きている時間が長いビジネスパーソンは、職種や役割によって使う脳番地がどうしても限られてしまうもの。また、個々の性格や持って生まれた脳の特性によっても、よく使う脳番地とあまり使われない脳番地という偏りは出てきます。

ですから、「慣れていないこと」「いつもと違うこと」をするというのが、ほかの脳番地を刺激するいちばんの近道です。

たとえばこんなことです。

・デスクワークの人→会社の行き帰りや休憩時間に歩くようにしてみる
・仕事で同じ人とばかり接している人→立ち寄ったお店の店員さんに話しかけてみる
・クラシックばかり聴いている人→Jポップのヒットチャートをチェックしてみる
・接客で不特定多数の人と話している人→1人静かに過ごす時間を持つ
・オンライン打ち合わせが多い人→可能な限り対面で打ち合わせをする

どうでしょうか?

「こんな簡単なことで不眠が改善されるわけない」と思うかもしれません。

私の患者さんの中で不眠に悩んでいる人にも、変化やイレギュラーを嫌って行動や生活習慣を変えようとしない人が多くいます。その結果、不眠が改善されず、仕事や私生活に影響が出ている人が少なくありません。

どれもお金をかけずに、あなたの意識ひとつで変えられることばかり。まずはやってみて、それから判断しても遅くないと思いますよ。

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