バイカル湖で相次ぐ観光客の死

1月の事故に続き、2月にもバイカル湖で死亡事故が起きた。

2月20日、中国人観光客8人を乗せたツアー車両が氷を突き破り、湖に転落した。車両はそのまま水深約18メートルの湖底に沈んだ。欧州ニュース専門局のユーロニュースによれば、車両は公認の横断ルートを外れ、亀裂の入った薄氷の区域へ進入していた。

生還できたのは、わずか1人だった。運転手と観光客7人は氷の下に閉じ込められ、命を落とした。犠牲者のなかには、14歳の子どもとその両親も含まれていた。遺体は、駆けつけた潜水士の手で引き揚げられた。

AP通信は、ツアーを運営していたのは無登録の事業者だったと報じている。ユーロニュースによれば、安全基準を満たさないままツアーを催行し、参加者を死亡させた容疑で刑事立件されている。

モスクワ・タイムズが2月にロシアメディアの報道として伝えたところでは、今年に入ってからバイカル湖で死亡した旅行者は少なくとも11人に上る。その後5月にもホバークラフトの転覆事故でロシア人観光客5人が死亡しており、犠牲者はさらに増えている。

バイカル湖に限らず、ロシア各地で事故は相次いでいる。チャイナ・デイリーによれば、氷上の車両事故やスキー中の遭難が続いたことを受け、在ロシア中国大使館が2月5日に注意喚起を行っていた。

北極圏のムルマンスクでは、猛吹雪のなか約50人の中国人観光客が僻地で立ち往生し、在サンクトペテルブルク中国総領事館とロシア当局が連携して救助にあたった。

晴れ間がのぞく、わずかに曇った空の下にあるムルマンスクの写真。手前の草原の奥には、ソ連時代の都市計画に典型的な灰色の建物群が並んでいる
晴れ間がのぞく、わずかに曇った空の下にあるムルマンスクの写真。手前の草原の奥には、ソ連時代の都市計画に典型的な灰色の建物群が並んでいる(写真=Вячеслав Лобанов/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons

戦時下の国を旅するということ

最後に、忘れてはならないのが戦争の影響だ。ウクライナ戦争に起因する燃料危機も、中国人観光客の不安材料となっている。

米政府系国際放送局のラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティは今年6月、ウクライナのドローン攻撃で製油所や石油ターミナルが繰り返し破壊された結果、ロシアはここ数年で最も深刻な全国規模の燃料不足に陥っていると指摘している。

6月24日時点で、ロシアの行政区画である連邦構成主体83のうち55以上で、何らかの給油制限が報告されている。少なくとも17の地域ではガソリンと軽油の販売制限が課された。精製能力は20%超低下し、国際エネルギー機関(IEA)は、「ロシア・ウクライナ紛争の歴史において前例のない規模の混乱」と評した。

連邦構成主体の3分の2近くで燃料の供給が制限される中、観光客が移動や暖房に必要な燃料を確保できる保証はどこにもない。

ワールド・オブ・チャイニーズによれば、とりわけリスクが高いのが、オーロラを求めてムルマンスクやテリベルカを目指す冬の旅だ。極北の道路は吹雪で封鎖されやすく、再開の見通しも立ちにくい。

ワールド・オブ・チャイニーズによると、SNSの小紅書(RED)にはこうした嘆きが並ぶ。ある旅行者は、道路が封鎖されると何日も開かないと書き込んだ。5日間立ち往生したうえ、ようやく開通した道もわずか1日で再び閉ざされたという。

習近平政権の渡航自粛要請を受け、中国国民は「危険」と名指しされた日本を避け、ロシアへ向かっている。一方で、渡航先のロシアはドローン攻撃にさらされ、全国的な燃料不足にも見舞われている状態だ。

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