2019年からの就職支援は遅すぎた

もちろん氷河期世代の中には恵まれた職に就けた人もいますが、そこから弾かれてしまった人も多く、これが同世代の中に大きな格差を生み出すことになりました。

後者には、2008年に起きたリーマン・ショックで派遣切りにあった人たちも少なくありません。それでも国はなかなか動かず、氷河期世代が40代に突入した2019年になってようやく就職氷河期世代支援プログラムをスタートさせました。

国民が「この世代が大変なことになっている」と気づき始めたからですが、皆がそう思うようになってから手を打ったのでは遅すぎます。支援プログラムは、もう10年早く実施すべきだったと思います。

結局、氷河期世代は1990年代後半から2000年代を異常な就職難、派遣解禁、派遣切りと厳しい雇用環境の中で過ごさざるを得ませんでした。低賃金・不安定雇用から抜け出す機会を与えられないまま、人生でいちばん恋愛や結婚をしたいであろう20〜30代の時期が終わってしまったのです。

【図表2】出生数及び合計特殊出生率の年次推移(1947~2025年)
出典=厚生労働省「令和7(2025)年人口動態統計月報年計(概数)の概況」を編集部で一部加工

急速な少子化は、2000年代のツケ

その結果、氷河期世代の未婚化が進み、出生数は伸びませんでした。期待された第3次ベビーブームは来なかったのです。国の無策が、ひとつの世代を大きく貧困化させてしまったからです。今の急速な少子化は、この2000年代のツケにほかなりません。

出産可能な年齢には上限がありますから、もう氷河期世代の人たちの子が大きく増えることは望めないでしょう。つまり、少子化は少なくとも今後30年間は止められない。今後30年の間に出産する年齢になる層はすでに全員が生まれ終わっていて、その数が極端に少ないのですから。

手厚いセーフティーネットが必要

では、国や私たちがこれからできることは何でしょうか。私は、皆でしっかりとしたセーフティーネットを維持構築して、誰もが不安なく子どもを産み育てられる、安心して年をとっていける社会にしていく必要があると思っています。

そのためには財源が必要ですから、消費税や他の税金、社会保険料などの負担を軽くしようとするのではなく、皆できちんと払っていくべきでしょう。セーフティーネットは、出産や育児、病気、介護といったリスクを、個人では解決できないときに補うためのものです。