災害時にも助け合う力が脆弱になりがち

そこで、2026年4月からは、総会に出席した人の多数決(区分所有者とその議決権の多数決)で決められるようになったのです。なお、この出席者とは、総会の会場に出席する人だけでなく、委任状等や議決権行使書で意思表示をした人も含まれます。

頭の上にフキダシを浮かべる木の人形
写真=iStock.com/Andrii Yalanskyi
※写真はイメージです

とはいえ、マンションの区分所有者に非居住所有の割合が増えていくと、法改正後にも、委任状等の未提出者が多くて過半数の出席という定足数を満たせず、重要な決議を行う総会が成立しないといった問題が発生するリスクは残っています。

また、空室のまま保有される住戸が多いマンションでは、災害時にも、居住者同士で助け合う力が脆弱になりかねず、安否確認や人命救助だけでなく、復旧活動などへの影響も懸念されます。

このようにみると、日常的に住むことを目的としない所有者が区分所有者全体の過半数を超えてくるような状況は、現時点で深刻な支障が表面化していないとしても、今後、管理組合の運営に少なからぬ影響を及ぼすリスクがあると考えておくべきでしょう。

契約者の65%は「セカンドハウス」「投資目的」

この問題は、東京や大阪のような大都市圏だけに限りません。地方都市でも、駅前や都心部の再開発エリアを中心に、同じような現象が起きています。

その一例が、札幌駅前の第1種市街地再開発事業で建設されたONE札幌ステーションタワーです。

売主(※2)の公開情報によれば、契約者のうち実需は35%にとどまり、65%がセカンドハウスまたは投資目的だったとされています。この数字は、筆者が調査した東京・大阪の事例とも重なります。そこに住むつもりで購入を検討していた実需層にとって価格が高すぎたのか、価格以外の理由で購入を見送ったのか、あるいは売主側がセカンドハウスや投資目的の購入者に積極的に販売したのか、その理由は明らかではありません。しかし、結果的にはあまり実需層の手に渡っていないという実態をこのデータが示唆しています。

※2 大和ハウス工業株式会社ウェブサイト・ニュースレター:「ONE札幌ステーションタワー」全戸完売(2023年8月25日)