敵は夏場のエアコンではなかった
夏場であっても、この「熱需要」に無自覚なままでいると、思わぬところで電気代を浪費することになる。その代表格が、梅雨時にはありがたい浴室乾燥機だ。
「一般的な電気ヒーター式の浴室乾燥機を、夜間に5時間運転させたとします。1日あたりの電気代は約185円。これを1年間続けると、約6万7000円という莫大な金額になります。浴室という広く、密閉性もさほど高くない空間を、電気ヒーターで丸ごと温めるわけですからロスが大きいのは当然です」
もし浴室乾燥をやめヒートポンプ技術を持つ最新のドラム式洗濯乾燥機に変えれば、1回あたりの電気代は25円程度。浴室乾燥機と比べると、年間で約5万8000円の節約になる。
中村さんによると、最近はニトリや中国ハイアールグループのAQUAなど、コスパが良い高機能なヒートポンプ式ドラム式洗濯乾燥機が増えてきたという。洗濯物を干して取り込むという労働時間のカットも含めれば、十分に投資する価値があると言えそうだ。
電気代がよりかさむのは「熱需要」。これはすなわち、年間を通してみれば、夏よりも圧倒的に冬の方が、電気代がかさむということだ。
筆者も今回の取材に当たり、過去の電気料金の支払い履歴を確認して改めて気づかされたことがある。夏の1万8000円ごえもなかなかの衝撃だったが、数カ月前、今年の2月の電気代は、あっさりと2万8000円を超えていたのだ。
わが家の夏の電気代は、断熱性が低い一軒家ゆえのエアコンフル稼働と思われるが、データで見れば冬が本丸であることは明らかだ。この点に関しては、中村さんも常々警鐘を鳴らしているそうだ。
夏よりも冬のほうが本番
「本当に気を付けるべきは冬なんですよね。つくり出す温度差が倍近く違うんです。夏場、外気温35℃を28℃に冷やす場合、その温度差は7℃度です。しかし冬場、外気温5℃を20℃に温めようとすれば、温度差は15度にもなり、圧倒的にエネルギーが必要です。さらに、冬は在宅時間も長く、暖房を使う期間そのものも長引きます」
しかも、今年は秋以降、さらなる電気代高騰が待ち受けている。原油価格は電気料金に数カ月遅れて反映される。つまり、今年3月以降の中東情勢の緊迫化で高騰した原油価格上昇が電気料金に反映されるのは、今秋以降だ。政府の電気代補助は9月で終了するタイミングとも重なり、大幅な電気代負担増が予想される。
夏の節電対策として始めた断熱や省エネ家電への投資は、実は冬の電気代を大きく左右する。夏対策というだけでなく、1年を通じた熱への対策という視点こそ、待ち受ける今冬の電気代ショックへの最大の防御となるのだ。


