エアコンより先に手を付けるべき場所

「家族全員が1日に冷蔵庫を開けている時間をすべて足し合わせても、多く見積もってもせいぜい10分間程度。その割合は、24時間のうちのわずか0.7%ほどに過ぎません。残りの99%以上の時間は、閉まっているわけです。冷蔵庫が完璧に省エネ運転をしてくれています。

最近は野菜も高騰していますし、使い切れずにしなびさせて捨ててしまえば、それだけでロスになります。冷蔵庫の節電効果で浮く電気代はせいぜい年間数百円程度ですから、電気代だけにフォーカスするのはナンセンスです。また、冷気が逃げるのを防ぐビニールカーテンの設置も、冷気循環や各種センサーの働きを邪魔し、雑菌の温床にもなるためやめた方がいいですね」

ドアが開けられた冷蔵庫
写真=iStock.com/AndreyPopov
※写真はイメージです

エアコンも同様だ。高い省エネ性能を十分に生かすため、しっかりメンテナンスしたい。環境省のデータによれば、フィルターの掃除を怠った場合とそうでない場合とでは、冷房時で約4%、暖房時で約6%もの消費電力に差が出るという。

しかし、どれほど高性能なエアコンでも、本来の性能を発揮できないケースがある。その大きな原因が窓だ。

「どれだけ省エネ性能が高い最新のエアコンを導入しても、家自体がスカスカで熱をキープできない構造であれば、エネルギーは逃げていく一方です。住宅において最も熱の出入りが激しい最大の弱点、それが窓なのです」

家計を最も圧迫する最大の要因

夏の冷房時、室内に侵入してくる熱の約7割は窓から入ってくる。これを防がない限り、エアコンは常にフルパワーで働き続けなければならない。

「家全体のリフォームは高額ですが、既存の窓の内側にもう一枚窓をつける内窓であれば、比較的ローコストかつ短期間で施工可能ですし、現在は補助金制度もあります。窓断熱リフォームは、その建物が建っている限り永続的に電気代を下げ続けてくれます」

窓断熱を勧める理由も、結局は熱の出入りを抑えるためだ。そして、この「熱」という視点から電気代を見直すと、多くの人が抱く「夏のエアコンこそ電気代の元凶」というイメージが覆される。

「夏の電気代が高いと、真っ先にエアコンを悪者にしがちですが、家庭のエネルギー消費において『冷房』が占める割合は、年間でわずか4.6%に過ぎません。半分以上を占めているのは『暖房(24.9%)』と『給湯(27.0%)』です(※3)。つまり、直接『熱』に変える需要こそが、家計を圧迫している大きな要因のひとつなのです」

※3 資源エネルギーエネルギー動向(2026年7月13日更新)

資源エネルギー庁資料より筆者作成。