「強硬な男系男子派は自民党議員の4分の1程度」

では、自民・維新の議員たちは、これで勝利を勝ち取ることになるのだろうか。

前回も紹介したが、自民党内でも男系男子による皇位継承に拘り過ぎることに疑問の声は少なくない。それが、国民の7割前後の支持を受けている女性天皇の可能性を塞いでしまうからだ。公然と疑問を呈したのは、船田元氏と村上誠一郎氏の2人だけだ。船田氏は海外出張中、村上氏は体調不良を理由にしているが、本会議を欠席したのも、この二人だけだった。

しかし、ある自民党の閣僚経験者は、大半の議員は本心を隠して状況に流されているのだという。

「強硬な男系男子派は自民党議員の4分の1程度。実はそんなに多くないが、この人たちはとにかく固い。一方、男系男子にこだわるべきではない、と考えている議員も4分の1程度いるが、こちらは大して強硬ではない。残り2分の1は様子見だ。選挙で圧勝し支持率も高い高市さんに逆らうのは勇気がいる。頑固な男系男子派の麻生さんはいまや党内随一の実力者だ。誰も睨まれたくない。何より、2人のバックには強硬右派の『日本会議』やかつて麻生さんが会頭をつとめた青年会議所などの強力な応援団がついている。どちらも保守系の議員にとっては表立って逆らえないのだ」
 

「愛子さまが旧宮家の男系男子と…」と漏らす自民議員も

その様子見の議員も多くは、女性天皇否定論者と見られることは恐れているのだという。

「中曽根弘文氏が『愛子さまは天皇になれない。結婚もできない』という趣旨の発言をしてバッシングを受け謝罪・撤回に追い込まれた。男系男子論者も、公然と愛子天皇否定論を言うのは難しい。保守系の支持者のなかにも、愛子天皇までは父方の血筋の男系だから認めるという声が多い。しかし愛子さまに男子が生まれても女系男子なので皇位継承権はない。この複雑さが一番悩ましい」

男系男子の継承を主張しているある自民党の地方議員は、そんな風に複雑な心境を話してくれた。

「本当は愛子さまが旧宮家の男系男子の子孫の若者と結婚してくれるのが一番いいんですよ。そうすれば我々も、愛子天皇に反対しない。そんなことは難しいですかねえ」

短期決戦狙う高市政権

なぜ、議論が深まらないまま、反対論を押し切ってまで、典範改正を急ぐのだろうか。このまま成立しても、天皇陛下が言及した「国民の理解」が深まらないことは火を見るより明らかだ。典範改正の内容より成立したという実績を挙げることの方が重要だと考えているのだろうか。

強硬な男系男子派は自民党議員の4分の1程度という。自民党内の大半はかかわろうとしない様子見議員だ。男系男子にこだわらない議員もいる。国会で議論して、中身の不備を晒す前に数を頼んで改正してしまえば、後は誰が反対しようがこの政権が続く限り変えようがない―高市首相も、20年来の悲願として男系男子の養子案を主張し続けてきた麻生太郎副総裁も、そう考えているとしか思えない。

国家の基本問題を、できるだけ議論もせずに、短時間で決めてしまおうというのである。

仮に内閣支持率がさほど低下しないとしても、政権与党というだけでなく国会と国民の間の距離は確実に開いていくだろう。与野党ともに議会政治の曲がり角に立っていることを自覚すべきではないだろうか。

【関連記事】
「愛子天皇」を拒む麻生太郎の頑なさ…「天皇家の長子」より男系男子の「遠い親戚」にこだわる"長老政治家"の本心
保守層の「高市離れ」が始まった…大勝したのに空回り、自民党幹部が漏らした「孤独な首相」という政権の急所
小泉進次郎氏でも、高市早苗氏でもない…いま自民党内で急浮上している「次の首相」有力候補の意外な名前
"ヨボヨボ化"を進めるのはラーメンでもパスタでもない…血管・歯・腎臓を同時に壊す「最悪の麺」の正体
なぜ皇室に1男2女をもたらした「良妻賢母」が嫌われるのか…紀子さまを攻撃する人たちの"本音"